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2006年10月11日(水) 00時00分

債務「整理屋」と提携の疑い 大阪府警、弁護士を逮捕へ朝日新聞

 大阪弁護士会所属の男性弁護士(73)=兵庫県宝塚市=が、貸金業者から多重債務者の債務整理業務のあっせんを受けていた疑いが強まり、大阪府警は11日、弁護士法違反(非弁護士との提携の禁止)容疑で弁護士の自宅の家宅捜索を始め、弁護士を任意同行した。容疑が固まり次第、逮捕する。弁護士資格のない貸金業者と組んで、債務整理を装いながら多重債務者から手数料名目で金を受け取っていたとみられる。日本弁護士連合会によると、こうした「整理屋」の被害が各地で相次いでいる。

 調べでは、この弁護士は04年8月ごろ、大阪市城東区で貸金業を営んでいた住所不定の前川圭四郎被告(41)=弁護士法違反(非弁行為の禁止)の罪で起訴=から、多重債務者のあっせんを受け借金の整理を請け負った疑いがもたれている。

 大阪弁護士会によると、前川被告とこの弁護士の業務をめぐって、昨年5月ごろ、多重債務者の男性から「(前川被告を通じ弁護士に)債務処理を依頼し、手数料を払ったが返済請求が止まらない」と同会に相談が寄せられていた。

 この男性は04年春、夕刊紙に掲載された「債務を一本化します」との広告を見て前川被告に連絡。弁護士を紹介され、前川被告に数回にわたり手数料計約40万円を支払ったが、一時的に返済請求が止まっただけで請求が再開。男性は手数料をだまし取られたことに気づいたという。手数料の一部が弁護士に渡っていたという。

 同弁護士会が昨年11月、前川被告を弁護士法違反容疑で府警に告発、前川被告は今年6月に起訴された。弁護士についても同会懲戒委員会に懲戒処分を請求している。

     ◇

 借金をまとめれば、返済の負担が軽くなる——。こんな言葉で多重債務者を誘い、高額の手数料を受け取るだけで姿をくらますのが「整理屋」。債務整理をできるのは弁護士などに限られるため、高齢や病気療養中などで十分に活動できない弁護士をわずかな報酬で引き込み利用する。整理屋の悪質な活動が多重債務者の被害を深刻化させる一因となっている。

 貸金業規制法では、弁護士が債務整理の委託を受けた時点で、金融業者が債務者に直接返済を求めることが禁じられている。整理屋はこの規制を悪用し、提携した弁護士名で金融業者に「委託を受けた」という書面を出し、債務者への返済請求を止める。さらに、「債務状況を開示してほしい」「破産手続きに入る」などとする文書を次々送り、返済の引き延ばしを図る。

 この間に、整理屋は債務者から着手金や手数料のほか、実際は返済に回さない月々の「返済用資金」や成功報酬まで受け取るのが典型的な手口だ。これ以上、債務者から金を取れないとみると、弁護士名で金融業者に「解任された」という文書を送りつけ姿を消す。債務者には金融業者からの返済請求が再び始まる。

 多重債務者の救済を目指し、グレーゾーン金利撤廃に取り組む日本弁護士連合会にとっても、整理屋と提携する弁護士の存在は大きな課題だ。弁護士法が禁ずる「非弁護士との提携行為」があったとして懲戒処分を受けた弁護士は、91〜94年には年間0〜1人で推移していたが、その後徐々に増えて00年と01年には最多の11人に達し、04年、05年もそれぞれ4人が懲戒処分された。

 同連合会の担当者は「各地の弁護士会への苦情や相談件数をみる限り、非弁護士との提携が根本的に減少したとは言えない。弁護士制度自体の存続を危うくしており、厳しく取り締まる必要がある」と危機感を抱いている。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200610110021.html