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2006年10月08日(日) 01時47分

10月8日付・読売社説(2)読売新聞

 [法テラス開業]「常勤弁護士の増員が急務だ」

 社会のために身をささげようという弁護士は、そうそう多くないということか。

 「国民にとって身近な司法」の実現を目指す「日本司法支援センター」が業務を始めた。

 最大の課題は、地方の事務所などに常勤する「スタッフ弁護士」を何人そろえられるかだった。しかし、開業時に確保できたのは、予定の約3分の1の21人に過ぎなかった。

 「使い勝手が悪い」と批判されてきた司法制度を、国の予算で少しでも利用しやすくする仕組みとして、センターには大きな期待が寄せられている。

 構想段階では「司法ネット」とも呼ばれていたが、昨年9月、「法律上の悩みを抱える人たちの心に光を照らす」という意味を込めて、「法テラス」という呼称が付けられた。

 主な業務は、〈1〉法的な問題の解決に役立つ情報提供〈2〉被疑者や被告人の国選弁護〈3〉貧しい人たちを対象にした民事事件の処理〈4〉司法過疎地での法律サービス〈5〉犯罪被害者支援——だ。

 そのために、全国の都道府県庁所在地など50か所に「地方事務所」を置いた。そのほか、過疎地など10か所に「地域事務所」も設けた。

 スタッフ弁護士は、センターが事件ごとに業務を依頼する「契約弁護士」とともに、国費による刑事弁護や民事事件の処理を担う重要な存在である。

 当初、全地方事務所と10か所の地域事務所に計60人配置する計画だったが、実際は、地方事務所10か所(12人)と地域事務所9か所(9人)にとどまった。

 しかも、21人中、弁護士経験が2年以上は10人だけで、残りはすべて新人だという。弁護士が2万人以上いるのを考えると、何ともお寒い状況だ。

 全国には、弁護士が1人以下の地裁支部所在地が40か所以上ある。それなのに、こうした司法過疎地に派遣されたスタッフ弁護士は6人だけだった。

 センター開業と同時に、被疑者段階からの国選弁護も始まった。当面は年間約7000件の重大事件に限られるが、裁判員制度が始まる2009年には約10万件に増える。現在のスタッフ弁護士の数ではとうてい対応できないだろう。

 スタッフ弁護士のなり手が少ない原因として、報酬の問題や地方勤務が避けられないことがある。国が関係する活動には、くみしたくないと考える弁護士も少なくないという。

 センターの事業には年間約200億円の国費が投じられる。法曹界の責任において、必要な人材を確保し、十分なサービスの実現を図らなければならない。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20061007ig91.htm