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2006年10月07日(土) 00時00分

保険金不払い 信頼回復に全力尽くせ 東京新聞

 損害保険各社の不適切な保険金不払いが止まらない。大手六社だけで二十六万件以上に達し中堅損保も相次いで不払いを発表している。契約者は不信感でいっぱいだ。金融庁は厳しく処分すべきだ。

 昨年春以来、損保各社のトップたちは何度頭を下げて謝罪しただろうか。そんな見苦しい光景はもう返上してほしいところだが、不払いの実態が次々と明らかになっている。契約者の信頼を裏切る犯罪行為に等しい。

 自動車や住宅、医療などの損保商品は身近な保険として国民の間に普及している。自動車保険だけでも主要損保会社は年間約三兆五千億円もの保険料収入を得ている。

 不払い問題は昨年二月、富士火災海上保険で発覚して以来、各社に波及した。金融庁は昨年十一月に損保各社の調査結果を発表したが、二十六社で約十八万件(約八十四億円)の不払いが判明した。同庁は二十六社へ業務改善命令を出した。

 それで問題が改善されていたら契約者の不信感は高まらなかった。だが、今年に入って再び損保ジャパン、三井住友海上火災保険と次々と不払いが発覚。特に三井住友海上は約四万五千件、約二十八億円もあったため同庁は厳しい処分を行った。

 今回の不払いは、そのときに二十六社に対して指示した再調査で発覚したものだ。最大手の東京海上日動火災保険が新たに約四万五千件、あいおい損害保険も約三万九千件など金融庁も驚くほど大量だった。大手六社の不払い額は約百六十二億円と前回の二・三倍にも達した。

 なぜこんなに不払いが出たのか。各社の説明では自動車保険などに「特約」を付けすぎて営業の現場職員も契約者もわからなかったことが主因という。商品を売る側が商品内容を知らなかったとは噴飯ものだ。

 さらに事故が発生したとき、契約者へどんな保険金が支払われるかを知らせるべきなのに請求がなかったとして支払わなかった。社内の審査や支払い部門などが「収益優先」だった実態が明らかになった。

 金融庁は各社に対して業務停止など厳しい処分を行うべきだ。業界内では不払いや違法な販売が横行しているとの指摘が絶えない。不払いの約九割は支払い済みというが、それで責任が軽くなるわけではない。

 損保各社は無理な販売目標を掲げて現場に強いる「営業至上主義」を是正しなければならない。また商品開発や支払い手続きなども「契約者第一」の視点で取り組むことを徹底すべきだ。旧来の発想や手法に頼っていては保険会社に将来はない。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sha/20061007/col_____sha_____003.shtml