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2006年10月06日(金) 00時00分

NHKが法的督促正式表明 東京新聞

 NHKが五日、受信料の不払い者に対し、簡易裁判所を通じた督促を行うことを正式に表明したのは、法律に訴える強い姿勢を視聴者に示すことで、不払いに歯止めをかける狙いがある。ただこうした措置に対して放送業界からも慎重な対応を求める声が出ており、NHKは十分な説明責任を果たす必要があるといえそうだ。 (小田克也)

 「現行制度の中でできることをやるのが、私の責任だ」。NHKの橋本元一会長は五日の定例会見で、法的措置実施の決意をこう語った。

 法的措置の実施を決断したのは、受信料を払っている人から「払わない人を放置するのは不公平だ」との意見が多数寄せられていることに加え、四月に発覚した職員のカラ出張問題などの影響で受信料収入が落ち込んでいるためだ。

 この日発表された八−九月分の受信料支払いの再開件数は三万八千件。これまで横ばいが続いていたが、前期(6−7月分、4万5千件)よりさらに減った。

 政府は、来年の通常国会に受信料義務化を盛り込んだ法案の提出を検討中。NHKとしては法的措置に乗り出すことで経営努力をアピールし、法案成立に弾みをつけたいとの計算も働いたとみられる。

     ◇

 実際、法的措置を取ることは、受信料収入の回復に効果があるのだろうか。NHKの二〇〇五年度収入は一連の不祥事の影響で、〇四年度に比べて約五百億円減った。この損失について、ある職員は「NHKがどんなに努力しても取り戻せない額。督促状を出すくらいでは追いつかない」と漏らしている。

 つまり法的措置は、滞納料金を取り戻すというよりも、不払い者や未契約者に対し、「いつまでも払わないと裁判所に訴えますよ」と、圧力をかけることに真の狙いがある。

 今回、法的措置実施の対象となった四十八件は、東京二十三区内の約十九万件の滞納者から無作為抽出で七百件を選び、さらに支払い要請に応じない八十件→四十八件と絞り込みをかけて決定した。とりあえず選び出した感は否めず、この点だけを見ても「戒める意味合いが強い」(業界関係者)といえる。

     ◇

 橋本会長は五日の会見で、今回の法的措置により受信料収入が好転しても、法的措置を継続していく考えを示した。

 ただ法的措置については、「説明して国民に分かってもらわなければ反発が起きる」(フジテレビ・村上光一社長)、「心理的効果はあるだろうが、根本的な対策にならない」(テレビ朝日・君和田正夫社長)など業界内にも違和感が強い。

 放送制度が専門の服部孝章・立教大社会学部教授も、「(受信料問題を)何十年も放置しながら、いきなり法的措置を取るといわれても、説明になっていない」と指摘する。

 NHKは今後、番組やホームページを通じて法的措置に踏み切った理由や経緯について詳細に説明していく方針だが、不十分な内容で視聴者の理解が得られなければ、見直しを迫られる可能性もありそうだ。

■「強権的取り立て」抗議の文書を送付

 「支払い停止運動の会」
 NHK受信料支払い停止運動の会(共同代表・醍醐聡東大教授ら)は五日、受信料を支払わなければ法的措置に踏み切るとNHKが発表したことに対し、反対する見解の文書をNHK会長やNHK経営委員会などに送付したことを明らかにした。

 文書では、今回の措置について「受信料制度の趣旨を逸脱する、強権的な取り立て」などと強く抗議している。

<メモ> 簡易裁判所を通じた督促 支払い督促は、料金の支払いを請求しても相手が応じない場合、簡裁に申し立てて、督促状を送付してもらう制度。相手が二週間以内に異議を申し立てて裁判で争わなければ、督促は確定判決と同じ効力を持つことになり、財産の差し押さえも可能になる。電話や水道料金などの不払い対策としても利用されている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hog/20061006/mng_____hog_____000.shtml