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2006年10月05日(木) 13時41分

「うっかり子どもに注意できない」 声かけ「脅迫」無罪朝日新聞

 「被告人は無罪」。裁判官が主文を読み上げると、傍聴席にいた入川松博さんの十数人の支援者から拍手と「わぁー」という歓声が起こった。入川さんは裁判官に黙礼した。

 入川さんが、子ども連れの女性とすれ違った歩道は、04年11月に誘拐、殺害された小1女児が通っていた小学校のすぐ近く。子どもに不安を与えるような声かけなどを禁じる「子どもを犯罪の被害から守る条例」が、05年6月30日に県議会で可決された翌日だった。弁護人の古川雅朗弁護士は「逮捕・起訴は警察、検察の過剰反応。起訴するような事案ではない。条例を意識したと思わざるを得ない」と批判した。入川さんは「うっかり子どもに注意できない時代なんだな」と、無罪でも心は晴れない。

 「現場周辺の母親たちの警戒心は強い。単に子どもから目を離さないように言っただけなのに、誤解してしまったのかも」。入川さんの妻の常美さん(56)はそう話す。

 近くに住む主婦の平井順子さん(57)も「入川さんは、いたずらしている子がいれば注意するような人。事件の日も親切心で声をかけたのでしょう」。

 入川さんが逮捕された後、近くの住民ら十数人が無罪を求める署名運動を始め、2カ月間で約7000人分を集めた。入川さんも「支援者のおかげで地域から孤立している気はしなかった」と言う。

 入川さんは休職を余儀なくされた。今は蓄えを崩しながら息子たちからの仕送りで暮らしている。5人いる子どもたちのうち、一番下の次男はまだ大学2年生。「卒業させるためにも早く仕事に戻りたい」と話した。

 入川さんは警察の取り調べ段階でいったん容疑を認め、公判で否認に転じた。古川弁護士は「被害者の証言に沿う自白を促した冤罪の典型例。検察は控訴すべきでない」とした。

http://www.asahi.com/national/update/1005/OSK200610050033.html