悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。
また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。
これから秋の本格シーズンを迎える競馬界。メイショウサムソンが2年連続の3冠馬となるか、ジャパンカップでのディープインパクトとハーツクライの再戦!?−など話題が多いが、思わぬ場所から難題が浮上した。
「正直な話、多くのお客さまがいらっしゃる週末になるたび、大きな地震でもあったらどうしようかとドキドキ、ハラハラしている。ビルは築40年で現在の耐震基準を満たしていないんです」
ウインズ新宿が入るJR新宿駅南口からほど近い東城ビルのオーナー、東城実業の幹部は打ち明ける。
JRAは地下2階から地上6階を借り、昭和41年からウインズ新宿として営業。JRAによると昨年はのべ226万人以上が来場し、340億円余りを売り上げた。
都心の中枢駅前の一等地でドル箱店舗を借家人に持ちながら、東城実業は老朽化したビルを立て直すどころか、目立った補修も行わない。借入金が不良債権化、経営が火の車になっているためだ。前出の幹部は「不動産や新規事業に手を出したわけではない」と言葉を濁しながらも、経緯を語る。
「当初の借入先は都銀だったが、マネーゲームに使われた。債権がたらい回しにされ、今年に入ってハゲタカファンドのペーパーカンパニーが債権者になった。テナント料など全収入が差し押さえられている。給与の最低保障すら認められず、2年間給料がない」
つまり、JRAが払う賃料はそのまま債権者のファンド側に吸い上げられている構図だ。
この幹部は「ウインズは社会性のある特別なテナントなので、何とか保険などの費用は払っているが、耐震補強や水回り、空調などビルの管理まで手が回らない」と窮状を明かす。
JRAは「耐震基準の数値では、ただちに対策が必要なほど非常に危険な状態ではない」としているが、この幹部は「地震で被害者が出ようものなら、結局はウチが全責任を負うことになる」と危惧(きぐ)する。それどころか、昨年11月には東城ビルと土地が差し押さえられ、競売開始も決定。JRAとの契約は平成20年まであるが、新たなオーナーの意向次第ではウインズ新宿の存続自体、不透明な状況だ。
もちろん、JRAも手をこまねいてきたワケではない。これまで昭和57年に2億円、平成元年にも3億円を融資するなど助け舟を出し、独自に内装のリフォームなどもしてきた。
JRAのウインズ活性推進課は、この異常事態に「ウインズが入る建物が競売にかけられたことはない」と困惑。「経営についてどうこう言える立場にはない」としながらも、「今後どうなるか皆目見当がつかない。あくまで借り主なので推移を見守るしかない」と話す。
大きく立て直されたウインズ錦糸町、豪華な設備のあるウインズ汐留などに比べ、手狭で古いウインズ新宿。いっそ建て直してくれればファンは大歓迎だが、様々な“規制”で、現実には簡単に進む話ではない。
ZAKZAK 2006/10/05