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2006年10月05日(木) 17時07分

新司法試験 視覚障害者が合格…不自由さ逆に力に毎日新聞

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視覚障害のハンディを乗り越え新司法試験に合格した大胡田誠さん=9月28日、東京都港区の自宅で    法科大学院の修了者を対象に今年から始まった新司法試験で、視覚障害を持つ大胡田(おおごだ)誠さん(29)=東京都港区=が合格した。視覚障害者が司法試験に合格したのは15年ぶりで、竹下義樹さん(81年)、渡辺岳(がく)さん(91年)=いずれも現在弁護士=に次いで3人目。大胡田さんは「厳しいのはこれから。不自由さを逆に力にして多くの人の支えになりたい」と意気込んでいる。
 大胡田さんは静岡県沼津市出身。先天性緑内障で、幼いころから視力が0.05の弱視。視界はぼやけ、本は目に張り付けるようにして読んだ。「ゆくゆくは失明する」と医師から告げられ、小学6年の時に視力を失った。昨日見えたものが見えない。友達には不思議がられ、道路で標識にぶつかっては悔しい思いをした。
 中学生で上京し、筑波大付属盲学校に通った。そこで手に取ったのが竹下さんの著書「ぶつかって、ぶつかって。」だった。困った人の力になれる弁護士に興味を持ち、慶応大4年の時に司法試験を初受験。壁は厚く、静岡の実家で3年間の浪人生活の後、法科大学院で勉強を続け、5度目の挑戦でようやく難関をパスした。
 勉強は1日平均8時間で、多い日は13時間も。読める本は1冊もなく、ボランティアが点訳してくれた60冊近くの参考書と、スキャナーで本の文字を読み込むと声に変換してくれるパソコンが頼り。「努力すれば道は開ける」という思いと、「きっとできる」という家族の励ましが支えだった。
 試験は体力勝負で、通常でも4日間で22時間半という試験時間が、膨大な点字を読まねばならない大胡田さんの場合は36時間半に設定された。法務省の職員から合格を告げられた時、これまでの苦しさが頭をよぎり、涙があふれた。
 2人の先輩からは「これからが大変。気を緩めるな」という助言を受けた。目が不自由なことはハンディばかりではない。人の話をよく聞いて要点をくみ取る力は負けないと思っている。「労働法や社会保障の理解を深め、温かい目線で相手と向き合える弁護士になりたい」と胸を膨らませている。【工藤哲】
(毎日新聞) - 10月5日17時7分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061005-00000017-maip-soci