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2006年10月02日(月) 11時07分

また不払い発覚 損保各社、薄い危機意識読売新聞

「横並び」で調査先延ばし

 29日に大手損保6社が公表した自動車保険などの保険金不払いの追加調査の結果、不払い件数は昨年9月の当初発表から約2倍、金額は2・9倍に膨らんだ。調査のたびに大量の不払いが発覚する背景には、不払い問題に対する損保業界の危機意識の薄さがあるといえる。

 昨年9月の当初発表では、不払い件数は6社で13万2188件、金額は55億8570万円だった。今回、不払い件数が急増した直接の要因は、一人の契約者に複数の保険が適用されるケースを損保各社が見落としていたことだ。

 例えば、助手席で事故に遭った場合、相手が加入する「対人賠償保険」と自分が乗っている車の運転者が加入する「搭乗者傷害保険」の両方が適用されるが、「対人賠償保険」の支払いだけで済ませていることが多く、こうしたケースの不払いが大量に見つかった。

 東京海上日動火災保険の石原邦夫社長は29日の会見で「前回調査で1000万件強の資料を念入りに調べたが、バウチャー(領収書)を一枚ずつ見たら、また出てきた」と釈明した。保険会社の原点である保険金支払い体制が、不十分なまま放置されていたことになる。

 1998年の保険自由化以降、商品開発や顧客獲得の競争に明け暮れたことが、こうした傾向に拍車をかけた。2005年2月に発覚した富士火災海上保険以降、不払い問題の解決が急務となっていたのに、他社の動きを意識して徹底調査に乗り出せない業界の「横並び意識」も問題を長期化させた。

 29日に相次いで会見した損保トップは、「当社としてはすべて調査した」(日本興亜損害保険の松沢建社長)、「これで大丈夫だと思う」(三井住友海上火災保険の秦喜秋会長)などと、不払い問題が決着するとの見通しを強調した。

 ただ、今回の再調査の報告を受けて、金融庁は損保業界に不払い防止策の徹底などを求めていく方針だ。山本金融相も同日の会見で「経営管理体制を詳細に検証する」と強調した。

 金融庁は「顧客保護が重要であり、処分ありきではない」(幹部)と説明するが、大量の不払い発覚は経営管理体制そのものが問われるため、行政処分は必至だ。業務改善命令なのか、業務停止命令やトップの進退問題に波及するのかが、今後の焦点となる。(庄野和道)

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20061002mh09.htm