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2006年10月01日(日) 16時05分

「次々販売」の陰に信販 呉服会場に社員、その場で契約朝日新聞

 同じ顧客に高額な商品やサービスを何度も売りつける「次々販売」の被害が絶えないなか、苦情の多い呉服販売について、クレジット会社が二人三脚で支えていると批判が出ている。呉服業者が顧客を集めて強引に売りつける会場に信販会社員が常駐し、その場で分割払いのクレジット契約を結ぶ例が多いためだ。クレジット業界は批判を受け、10月から呉服展示販売会場への社員派遣を禁止するが、クレジットの引き受け自体は引き続き各社の判断にゆだねる。

 「似合いますよ」「訪問着ぐらい持ってなきゃ」。04年10月、東京で開かれた呉服の展示販売会場で、都内の主婦(50)は販売員4、5人に取り囲まれた。何度も来場を誘った近所の知人女性は、実は販売員だった。

 買わずに帰れる雰囲気になく、訪問着と袋帯など約100万円分を買った。ローン返済などのために持ちあわせていた現金で支払った。

 その後も展示会に誘い出された。12月、264万円の訪問着を勧められた。「ローンで少しずつ返せばいい」。知人は会場内から大手信販会社の制服を着た女性を連れてきた。販売員に月々いくら払えるか聞かれ、主婦が答えると、信販会社員が電卓で計算して「37回払いですね」。契約書に販売額と返済方法を記入し、詰め所に消えた。

 その後も買い物が続き、05年7月にはクレジット残高が786万円、月々の支払額は20万円に膨らんだ。弁護士に相談し、主婦は4月、知人と販売業者に加えて信販会社も相手取り、損害賠償を求めて提訴した。

 呉服商法の被害救済に当たる弁護士によると、今年3月に自己破産した呉服大手「愛染蔵(あぜくら)」(大阪市)の販売会場にも、大手を含む複数の信販会社の社員が詰めていた。

 信販会社には販売業者から販売額の数%の手数料が入る。呉服過量販売対策会議代表幹事の木村達也弁護士は「信販会社は、『監禁行為』で売る業者に協力して被害を拡大させてきた」と話す。

 呉服販売をめぐっては、9月中旬に全国20カ所で地元弁護士会などが実施した被害110番に200件を超す相談が寄せられるなど、依然として被害がやまない。

 全国信販協会は会員会社による社員派遣の禁止について「業者の強引な販売を知りながらクレジット契約を結んでいると誤解を受けており、襟を正すため」と説明する。

 だが、クレジット被害問題に取り組む拝師(はいし)徳彦弁護士は「悪質業者と一体だと批判されるのを免れる対策ではないか。信販会社が過剰貸し付けの体質を改めない限り、被害はやまない」と話す。

http://www.asahi.com/life/update/1001/010.html