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2006年09月30日(土) 21時11分

お金ない容疑者にも弁護人、費用は税金 2日スタート朝日新聞

 警察署や拘置所に勾留(こうりゅう)された容疑者に資力がなくても、希望すれば国費で弁護人をつける制度が、2日から導入される。これまでは起訴後からだった国選弁護を容疑者段階にも拡大するもので、請求から原則2日以内に弁護士が駆けつける仕組みだ。いつでもどこからでも要請はありえるが、弁護士がたどりつくのに数時間かかるなど地域事情もあり、関係者は新制度がうまく回るか、注視していく。

 新制度の弁護人の確保は、同日から全国で業務を始める司法支援センターが担当する。実施は2段階で行われ、まず殺人、傷害致死などの重大事件を対象とし、年間約7000件を想定。09年からは窃盗、傷害などにも広げ、年間約10万件に増えると予想している。

 起訴前弁護を担うとして登録した弁護士は全国で約5800人。全国50ある地裁の管内別にみると、1弁護士当たりの事件数は年間3件以上の埼玉、千葉、鹿児島などから1件に満たない石川、長崎、奈良などまで地域差が大きい。弁護士が集中する東京・大阪はこの登録弁護士の割合が低くても制度は回るが、地方では弁護士の大半が協力しないと機能しない。

 「対応できる態勢は整ったが、難しいのは島部」というのは、司法支援センター鹿児島地方事務所。奄美大島で勾留された容疑者が弁護人を希望したら、奄美の2人の登録弁護士が動けないと、鹿児島市内から飛行機や船を使って行くしかない。「24時間以内には派遣できないかも」

 旭川地方事務所では、初日から1週間は主にセンター常勤の弁護士が接見に出向く予定。管内は広く、北端の稚内までは5時間かかる。「どんな事件が来るのか予測できず、臨機応変にやるしかない」という。

 司法支援センターや日本弁護士連合会(日弁連)は当面の3年は対応できるとみているが、対象を広げる09年には裁判員制度も念頭に入れた対応が必要になるため、弁護を質・量ともに高める必要を感じている。

 勾留段階で弁護人の援助が得られれば、取り調べにどう対処するか助言を得たり、被害者と示談交渉してもらえたりする利点は大きい。一方で「犯罪容疑のある人の弁護士費用を税金で負担するのはどうか」との異論もあり、対象を本人が申告した預貯金などが50万円未満の人に絞った。

 これまでも起訴前に弁護人をつけることは可能だったが、容疑者が弁護料を払えない、引き受ける弁護士がいないといったケースが少なくなかった。初回無料の弁護士会の当番弁護士制度や法律扶助協会の補助などが一定の役割を果たしてきたが、任意事業ゆえ弁護士のやりくりがつかない場合もあり、公費で弁護を保障すべきだという指摘が根強かった。

 新制度の導入をきっかけに、起訴後も含めた国選弁護人全体の報酬も見直され、接見回数や示談の成立など、弁護人の努力がより報酬に反映される。

http://www.asahi.com/national/update/0930/TKY200609300288.html