悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年09月30日(土) 20時01分

巨大スパイ組織? 違法盗聴疑惑にイタリア大揺れ朝日新聞

 イタリアで、国内最大手の通信会社テレコム・イタリア(TI)の幹部らが社内に数百人の盗聴担当者を設け、自社を使う電話を大規模に盗聴していた疑惑が浮上した。こうして得られた情報をもとに、政財スポーツ界の著名人らが恐喝されていた可能性がある。警察や法曹界にも協力者がいたとみられ、伊メディアは「空前規模のスパイ組織」と報道。本物の国家情報機関を上回る収集力を持っていた、とも推測され、政界を巻き込んだ騒ぎとなっている。

フィレンツェで20日、テレコム・イタリアの盗聴疑惑に関連してパソコンなどを押収する警察官=AP

 ミラノ地検は9月20、26の両日、TIのジュリアーノ・タバロリ元防犯担当部長、フィレンツェにある探偵事務所のエマヌエレ・チプリアニ所長のほか、警察官や警察軍兵士、財務警察官、ミラノ地検職員ら計25人を、情報の不法入手や汚職、コンピューターへの不法アクセスなどの疑いで逮捕。スイスとルクセンブルクの銀行に預金されていた計1500万ユーロ(約22億5000万円)分の口座などを凍結した。

 これまでの調べによると、タバロリ容疑者らは97年ごろ以降、数千人分の電話を盗聴。政府の情報データバンクや銀行、税金関係機関のコンピューターにある個人情報も入手していた疑い。親友のチプリアニ容疑者と共に情報を外部に流していた。イタリアでは裁判官の許可による捜査当局の盗聴が認められているが、同容疑者らはこれらの記録も内部協力者から買っていた疑いがある。

 情報の用途は不透明だが、盗聴対象だった人物には有名ブランドのオーナーら財界の要人、サッカー関係者、政治家らがいるとみられる。こうした権力者の弱みを握り、重要な企業戦略や政策決定に影響を与えていた可能性が指摘されている。マステラ法相は「前代未聞のスパイ網で、民主主義への脅迫行為だ」と述べ、徹底的な捜査と官公庁の内部調査を求めた。

 さらに事件を複雑にしそうなのが、タバロリ容疑者と国家情報機関との関係だ。同容疑者は、米中央情報局(CIA)がミラノでエジプト人のイスラム活動家を拉致したとされる事件でCIAに協力した疑いのある伊国防省情報部の元幹部=今年7月に逮捕=とひんぱんに接触していた。もし情報部員がタバロリ容疑者らの犯罪組織から情報を得ていたとすれば、国家の威信にかかわるスキャンダルとなりかねない。

 今回の事件で、盗聴による情報やプライバシーが暴露されることも伊政府は懸念している。伊では数々の刑事事件が盗聴捜査で摘発される一方で、検察などから漏れる盗聴記録がメディアにしばしば流れていた。政府は疑惑浮上直後、盗聴文書の扱いに関する政令を承認。不法な盗聴による会話内容などを新聞や雑誌に掲載した場合、掲載された側が要求すれば、編集人らは1部につき0.5ユーロ(約75円)の賠償金を払うことなどを義務づけた。

http://www.asahi.com/international/update/0930/021.html