2006年09月27日(水) 08時00分

文春、岩波に謝罪　本の内容「正確さ欠く」（朝日新聞）

　文芸春秋が７月に発行した水谷尚子著「『反日』以前」の記述に岩波書店が「事実と異なる」と抗議し、文芸春秋と水谷氏が「正確さを欠いた」として該当部分の削除を決めて謝罪したことがわかった。文芸春秋は同社発行の小冊子「本の話」とホームページに著者と連名の「告知」を載せて計１３行の削除部分を挙げ、「名誉を傷つけたことはまことに遺憾」とした。現在初版の同書は回収せず、該当部分は次版から削除するという。

　同書から削除するのは、水谷氏らが岩波書店発行の月刊誌「世界」９８年１０月号に執筆した原稿について「編集部の強い意向で、（後半の）中華人民共和国建国以降のインタビュー部分が全（すべ）てカットされた」などとし、掲載当時の日本共産党と中国共産党の和解機運への「『政治的配慮』を、編集部が働かせたのであろう」などと分析した部分。

　文芸春秋の松井清人・第二出版局長は「（裏付けとなる）十分なものを相手側に示せなかった。『告知』の文面は著者も了解している」と話す。「世界」の岡本厚編集長は「適切な処置を申し入れていたが、誠意ある対応を取っていただいた」と話している。

http://www.asahi.com/national/update/0927/TKY200609260445.html