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2006年09月26日(火) 08時50分

「裁判官が過失」国を提訴 那珂郡の女性東京高裁敗訴で読売新聞

土地詐欺絡む賠償棄却

 水戸地裁で26日、土地取引詐欺に遭った那珂郡の70歳代の女性が「東京高裁の訴訟指揮と証拠認定に過失があった」として、国を相手取り、損害賠償金1億1000万円の支払いを求めた裁判が始まる。女性は偽造書類をもとに作成された土地登記を信じて詐欺に遭ったことから、「偽造を見抜けなかった法務局登記官に過失がある」と、別に国相手の損害賠償請求訴訟を起こし、2審の高裁も登記官の過失を認めた。ところが、肝心の賠償請求を棄却。納得できない女性が今度は「裁判官の過失」を法廷で問う決心をした。

 日弁連などによると、裁判官の過失を問う訴訟は、刑事裁判の再審無罪事件に絡んだケースでは例があるものの、民事や行政訴訟で裁判官の過失を理由とした損害賠償請求訴訟は極めて珍しいという。

 訴えによると、女性は1998年5月、都内の不動産会社から千葉県柏市内の山林約4100平方メートルの購入を持ちかけられた。

 「路線価は5、6億円だが、現金払いなら2億円」と言われた女性は千葉地方法務局柏支局作成の登記書類で会社所有の土地と確認した上で、1億8500万円で売買契約を交わした。

 しかし後日、会社には所有権がなく、偽造の印鑑証明などによる登記だったと判明し、会社社長は姿を消してしまった。女性は社長らを詐欺罪で千葉県警に告訴する一方、「登記官の過失で損害を被った」と、2000年8月、国に2億2000万円の賠償を求める訴訟を水戸地裁に起こした。

 地裁では「登記官の過失」の有無を争い、4年半の審理の末、女性の訴えを棄却したが、控訴審で高裁は一転、登記官の過失を認定した。ただ、「女性がこれだけの大金をいかに用意したか疑問で、(振り込みではなく)直接支払ったというのも不自然」などとして、女性側が提出した領収証などの証拠能力を認めず、賠償請求を退けた。

 女性側は「売買や被害の存在に疑問があるなら当事者に説明を求めるべきなのに、当事者に立証の機会を与えないまま判決を出した」などと高裁を批判し、今回の裁判で水戸地裁が高裁裁判官の過失を認めるよう求めている。

 女性は読売新聞の取材に「現金授受を否定された到底納得できない判決。泣き寝入りできないと考え、新たな提訴に踏み切った」と話した。一方、国側(法務省)は「現段階ではコメントできない」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ibaraki/news001.htm