悪のニュース記事

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2006年09月26日(火) 14時06分

9月26日付・よみうり寸評読売新聞

 真夏の強烈な日差しにも負けないヒマワリの花は〈自由と正義〉を、正確な天秤(てんびん)のはかりは〈公正と平等〉をそれぞれ象徴する◆ヒマワリに天秤をあしらった弁護士バッジのデザインはその誇りを表している。が、時にヒマワリは虚像だったり天秤の精度があやしかったりする。東京高裁が弁護士2人の処分を日弁連に求めた◆オウム真理教の松本智津夫死刑囚の控訴審を担当した2人のこと。「審理の迅速な進行を妨害した」というのが処分を求めた理由だ。2人が控訴趣意書を期限までに提出しなかったため1審の死刑判決が確定した◆あれだけの大裁判が控訴審を1回も開けないまま前代未聞の打ち切りになった。これは審理にまるでそっぽを向いてきた松本死刑囚の〈身から出た錆(さび)〉とも言われたが弁護団の身から出た錆でもある◆控訴趣意書を提出しなければ、裁判を先延ばしできるという読みは裏目に出た。結果として被告に不利な結果を招いた。死刑が確定しては懲戒処分が出されても、取り返しのつかない不始末だろう◆ヒマワリの季節は過ぎ、今はもう秋。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060926ig05.htm