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2006年09月25日(月) 17時16分

一般市民の後見人始動 身寄りない高齢者の支えに 将来需要増 高まる期待西日本新聞

 認知症や知的障害のため判断能力が不十分で、身寄りもない高齢者や障害者の財産管理や売買契約などを代行する「成年後見制度」。高齢者らに身寄りがない場合、弁護士や司法書士など専門家が「第三者後見人」となるのが一般的だが、福岡県内で特定非営利活動法人(NPO法人)の研修を終えた全国でも珍しい一般市民の「第三者後見人」が誕生し、注目を集めている。国が6年前に創設した同制度は年々需要が高まる一方で、将来の後見人不足が心配されており、市民の後見人育成にかかる期待は大きい。

 「第三者後見人」として活動を始めたのは福岡県筑紫野市の市社会福祉協議会理事、中嶋幸子さん(58)と同県太宰府市の福祉施設職員、木下利孝さん(57)。2人は今年2月、成年後見活動の相談などに取り組むNPO法人「高齢者・障害者安心サポートネット」(福岡市)主催の後見人育成研修を受講。約2カ月間、契約や遺産相続など法的知識、介護保険制度の概要などを学んだ。

 今年7月、同ネットが福岡家庭裁判所から法人として、第三者後見人に選出され、同ネットが2人を後見人に任命。それぞれ、福岡県内の認知症のお年寄り支援に当たっている。同ネットの森山彰理事長は「一般市民の後見人は恐らく全国で初めて」と話す。

 約20年間、高齢者支援のボランティア活動を続けてきた中嶋さんは、これまで認知症を患った高齢者が親族に勝手に年金を使い込まれたり、悪徳業者から健康商品を買わされたりするケースを見てきた。中嶋さんは「もう一歩進んだケアをしたい」と研修を受講。認知症患者の入所施設に勤める木下さんは以前、銀行に勤めていた経験を生かし「若い職員とは違う質の仕事をしたい」と研修に参加した。

 2人が担当する高齢者はともに施設に入所する70代の認知症患者。これまでは、本人に判断能力がないため、施設職員が勝手に本人のお金を使って下着を購入することもできず、仕方なくほかの入所者のお古を使っていたという。

 中嶋さんは「責任が重くなったが、やりがいを感じる」。木下さんは「世話をする高齢者との信頼関係を早く築きたい」とともに意欲満々。研修を主催した森山理事長は「各地域に後見人をできる市民がいて、制度がより身近になることを期待したい」と話している。

=2006/09/25付 西日本新聞夕刊=
(西日本新聞) - 9月25日17時16分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060925-00000021-nnp-l40