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2006年09月25日(月) 03時14分

9月25日付・読売社説(2)読売新聞

 [中国]「ますます強まるメディア統制」

 手綱を緩めれば、体制は揺らぐ——。中国の胡錦濤政権を際限のないメディア統制に駆り立てているのは、そうした危機感だろう。

 胡政権は9月に入り、内外メディアに対し、相次いで新たな規制策を打ち出している。

 10日には、国内に情報を配信する外国通信社に国営新華社通信の許可、審査を義務づける新規則を公布した。

 経済情報に限れば、10年前から同様の規定はあった。だが、新規則は対象を一般ニュースにも拡大し、「国家統一や主権を破壊する」「国家の安全や利益を脅かす」「民族の団結を損なう」とされる内容は禁止となる。

 13日には、言論、文化統制宣言とも言える「文化発展計画綱要」が、公表された。10章48項目と長大な「綱要」は、理論、道徳から報道事業、文化産業まで幅広く網羅し、報道機関には「党の主張を全面的に宣伝し、良い側面の宣伝を拡大する」よう求めている。

 「綱要」は新聞、雑誌業界に対し、内部調整、つまり談合による部数の「適正化」や「質の向上」を指示し、報道界で進む自由競争に枠をはめた。人民日報を筆頭とする党機関紙の普及拡大も指示している。

 インターネットも、月初から特別取り締まり期間に入った。来月末まで続くという。ポルノなど違法・有害サイトの閉鎖のほかに、反体制的なサイトの摘発も行われている。

 胡政権は発足当初、過剰な政治宣伝を抑えるなど、メディア改革への意欲を示した。だが、所得格差、公権力の横暴や腐敗に対する不満、批判が高まる中で、弱者を代弁する新興メディアも登場し、ほどなく締め付けへと転じた。今回の規制はそれをさらに強化するものだ。

 胡錦濤指導部が主導権確立をかける共産党大会は1年後に迫った。その準備会議ともなる党中央委総会が来月開催される。“政治の季節”を言論、思想統制によって乗り切るのは、共産党政権の常套(じょうとう)手段である。

 外国通信社の規制に対し、国際社会の不信感が高まっている。公布時に訪欧中だった温家宝首相は、各国の首脳やメディアから「言論の自由を守るべきだ」との集中砲火を浴びた。2年後の北京五輪が迫るにつれ、中国の言論統制への国際的な関心と批判が高まるのは必至だ。

 胡政権は、国内の反発は無論、国際的な非難も意に介さない、との姿勢だ。その手法も旧態依然としたものばかりだ。この情報化時代に、どこまで通用するのだろうか。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060924ig91.htm