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2006年09月25日(月) 00時00分

「司法共助協定締結を」/日伯法律セミナー朝日新聞

ブラジル側提案 

 県西部で犯罪容疑者のブラジル人が相次いで出国した問題で、浜松ブラジル協会(石川エツオ代表)は24日、浜松市内で「日伯比較法学会ブラジル法律セミナー」を開き、容疑者をどう司法手続きにかけるかについて両国の法律関係者が議論した。ブラジル側は自国民の引き渡しを禁じた憲法を理由に、ブラジル刑法の国外犯処罰規定を迅速に運用する司法共助協定の締結を提案した。日本側は提案を評価する一方で、量刑の差を懸念する意見も出た。両国の法の違いが改めて浮き彫りになった。(福田直之)

 「日本が犯罪人引き渡し条約の締結に固執するのは時間の無駄」

 日・ブラジル両国の法曹関係者でつくる日伯比較法学会の会員で、サンパウロ大法学部のアダ・ペルグリーニ・グリノベル教授はそう断言した。

 グリノベル教授は「ブラジル憲法での自国民の引き渡し禁止は基本的人権を構成していて改正は不可能」と説明。代わりに現状でも可能な同国刑法の国外犯処罰規定の適用での解決を提示した。

 ただ、国外犯処罰規定の適用を求める場合、日本の警察が両国政府を通じてブラジルの警察に捜査情報を渡す必要がある。グリノベル教授は、共同捜査もできる司法共助条約を結ぶことを提案した。

 これに対し熊田俊博弁護士は最高刑懲役20年の危険運転致死傷罪を挙げ、「日本で裁判が出来れば重い刑を科せられるが、ブラジルの裁きとは大きな差があるのではないか」と懸念を示した。

 イウリカ・タニオ・オクムラ・サンパウロ州上級検察官は「交通事故の過失致死の場合懲役2〜5年で日本に比べて軽い」と述べたが、日伯比較法学会の渡部和夫会長は「量刑の多寡ではなく、日本から逃げても処罰されないという安心感を葬り去ることが重要だ」と述べた。

                  ◇

「引き渡しを今後も主張」

 ブラジル人容疑者が起こしたとされる交通事故で長女理子ちゃん(当時2)を失った湖西市吉美の会社員山岡宏明さん(43)は「身柄の引き渡しが出来ない前提で話がされている。だが、今後も引き渡しを強く主張していきたい」と話していた。

http://mytown.asahi.com/shizuoka/news.php?k_id=23000000609250010