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2006年09月25日(月) 23時03分

起債「違法」判決、新駅凍結方針の嘉田知事に追い風朝日新聞

 滋賀県の新幹線新駅建設に関連し、大津地裁が地元・栗東市の地方債の起債を「違法」としたことは、新駅凍結を掲げる嘉田由紀子知事と推進派との力関係を一変させそうだ。知事が早速、市の起債への同意を保留する方針を示すなど攻勢を強める一方、市やJR東海などには困惑が広がる。新駅問題は大きな転換点を迎えた。

 「(栗東市の)資金計画に無理があったのでは。司法判断でその一端が示された」。嘉田知事は25日、地裁判決を受けて急きょ、開いた記者会見で語った。

 7月の知事選では、「もったいない」のスローガンで旋風を巻き起こし、自民、民主、公明の3党相乗りの現職を破って初当選した。

 しかし、その後は推進派が多い地元市長や県議会の猛反発を浴び、凍結に向けた糸口がつかめずにいた。7月末には新駅建設費の県負担分の一部の支払いに応じるなど、推進派との融和をめざして妥協する局面もあった。

 しかし、今回の判決で、膠着(こうちゃく)状態が続いていた凍結問題に突破口が開ける可能性が出てきた。嘉田知事は会見で「判決は公約実現の追い風になるか」と問われると、「私の口から申し上げることではなく、社会的に判断されることだ」と余裕を見せた。

 一方、栗東市のショックは大きい。敗訴の知らせを聞いた国松正一市長は「主張が認められず残念です」との短いコメントを発表。直後の市議会の全員協議会でも、「内容が分からないので、判決をよく読んで対応したい」と述べるにとどまった。

 栗東市は大阪圏の住宅地として人口増が続き、工場立地も相次ぐなど税収に恵まれている。国から地方交付税をもらわない不交付団体だが、積極的な開発行政から一般会計と特別会計の地方債残高は05年度決算で計645億円。市民1人あたり104万円と財政事情は極めて厳しい。

 国松市長はこれまで、反対派住民の「新駅に多額の投資をすれば、市民生活にしわ寄せが来る」との批判を意識して、「駅建設で一般財源には手をつけない」と説明してきた。この日の判決に、市の財政担当者は「今の財政事情では、一般財源から出すのは無理。起債に代わる財源を見つけるのは難しい」とうなだれた。

 市は新駅関連の事業用に約35億円の基金を積み立てている。しかし、これは駅舎部分の建設費に充てる予定。仮線費に回せば、駅舎建設費が足りなくなる。起債できなければ、JR東海への今年度分の市負担金の支払いにも影響が避けられず、財源問題は深刻だ。

 JR東海の松本正之社長は25日の記者会見で、「我々の基本は協定や契約を履行していくことだ」と建設続行の立場を強調しつつ、栗東市が起債に代わる財源を見つけられなかった時の対応については「仮定の話」としてコメントを避けた。

http://www.asahi.com/politics/update/0925/008.html