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2006年09月24日(日) 01時46分

9月24日付・読売社説(1)読売新聞

 [新司法試験]「法科大学院の理念が問われた」

 注目の合格率は48%。従来の3%台という狭き門から、一気に法曹への道は広がった。

 司法制度改革の“目玉”といわれた法科大学院の、初の修了生たちが挑んだ新司法試験だった。1009人が合格した。

 100人超の合格者を出した法科大学院がある一方、合格者ゼロの大学院も4校あった。合格率で見ても100%から0%と極端な差がある。

 今後、法科大学院の「序列化」が進むことは避けられない。来年以降の試験でも、合格者がゼロか極少数で推移していく大学院の中には、廃校を余儀なくされるところも出て来るだろう。

 複雑な表情を見せたのが中央大だ。最多合格者131人を出したが、合格率では5割強にとどまった。過去の合格実績から東大、京大、一橋、慶応、早稲田大と並んで「六大学」と称されてきたが、その中では最も低い合格率だった。

 補習や、受験対策につながるような指導は一切してこなかった。法科大学院の教育理念が、知識の詰め込みではなく、幅広い見識を学生に身につけさせることにあるためだ。

 文部科学省も、受験対策に偏した授業はしないよう各大学院に指導し、合格者数を増やそうと補習を多用していたところには、「学生の自主性を妨げないよう配慮を」と厳しく注意してきた。

 今回、新司法試験の「選抜試験」的な性格が裏付けられたとも言える。すでに多数の法科大学院が設置された段階で、修了生の7〜8割が合格するという「資格試験」的構想は崩れ去っていた。

 「理念にたがわぬ授業をし、今回、好結果を得られた」と、胸を張る大学院もある。中央大は「今後は合格率アップの検討も必要だ」としている。

 他の大学院でも、学生から、ある程度の受験サポートを求める声が上がっていることは確かだ。「理念」と「学生ニーズ」の兼ね合いは大きな課題となろう。

 受験回数制限は、修了から5年以内に3回と厳しい。最後まで合格できなかった修了生を社会がどう評価し、迎え入れるか、受け皿作りの重要性も増す。

 今年受験した法学既修者コースの修了生に加え、来年は大勢の未修者コース(期間3年)修了生も挑戦する。合格率は2〜3割に下がると見られている。

 未修者には、前職を辞めて法科大学院生に転身した人も多い。未修者をどれだけ合格させられるかで真価が問われる、と各大学院は踏んでいる。

 法科大学院教育の理念も、各大学院に対する社会的評価も、そこで確固たるものになるだろう。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060923ig90.htm