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2006年09月24日(日) 06時05分

アコム、高率の遅延金 違法契約の疑い朝日新聞

 消費者金融大手のアコムが、地方銀行など10社と提携する消費者ローンの滞納者に対し、消費者契約法で認められた利率(14.6%)を上回る遅延損害金を請求していることが朝日新聞の調べでわかった。いずれのローンもアコムは借り手の保証人として登場。滞納があると残金を肩代わりし、その後は新たな債権者として借り手に高率の遅延損害金を課す仕組みだ。内閣府は「このような契約では原則的に消費者契約法が適用される」との見解を示しており、アコムの契約は同法違反の疑いが強い。

 違法の疑いが浮上しているのは、提携先が北海道、スルガ、十六、広島、青森、西日本シティ、長崎、南都、北陸の9銀行のほか、三菱東京UFJ銀行との合弁会社DCキャッシュワンの消費者ローン。利用件数は少なくとも20万件前後にのぼるとみられる。

 借り手は、地銀などと年10〜20%程度の金利で融資を受ける契約を結ぶとともに、アコムとは債務保証の委託契約を交わす。返済が滞ると、アコムがいったん肩代わりして地銀などに支払い、その後借り手から回収する。その際、アコムは肩代わりした額などに加え、日数に応じ、年率17〜26%程度の遅延損害金を請求している。

 しかし、消費者契約法は特別法の規定がない限り、遅延損害利率の上限を14.6%としており、これを上回る部分は無効と定めている。

 保証委託契約の遅延損害利率をめぐっては、04年5月に東京高裁が「(金銭消費貸借契約の場合に最大29.2%まで認める)利息制限法の規定は適用されず、消費者契約法が上限となる」との判断を示しており、同法を所管する内閣府も同様の見解だ。

 これに対し、アコム広報部は「さまざまな法的見解があることは承知しているが、利息制限法の範囲内であり、違法ではないと認識している」と説明している。

 アコムの保証提携先は14社あり、利用残高は6月時点で1699億円、利用件数は約39万7000件。このうち10社分の借り手が消費者契約法違反の疑いが強い契約を結ばされている形だ。

 審査や回収のノウハウを持つ消費者金融と、個人向けの融資を増やしたい地銀などの金融機関が保証提携する例は急増している。地銀にしてみれば貸し倒れリスクが少なくて済み、消費者金融側にとっては手数料収入を得られる利点がある。

 ただ、アコムのような高率は例外的で、ほかの消費者金融大手は同法の枠内で遅延損害金を請求するよう足並みをそろえている。

 プロミスは利率を14.6%に設定。三洋信販も東京高裁判決を受けて04年に29.2%から14.6%に変更。アイフルは、14.6%より高い利率を契約書に記載する商品もあるが、同法施行の01年4月以降の契約は14.6%で請求しているという。

     ◇

 〈キーワード:消費者契約法〉 消費者と事業者の間で起きる契約トラブルを、消費者保護の観点から解決するための包括的な民事法。消費者の利益を不当に侵害する契約を無効とする類例を盛り込み、01年4月の施行後に結ばれた契約に適用される。家賃の滞納などで発生する遅延損害金については、極端な請求を無効とし、上限を年14.6%としている。しかし、お金を貸し借りする金銭消費貸借契約には利息制限法が適用され、29.2%まで認められている。

http://www.asahi.com/national/update/0923/TKY200609230257.html