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2006年09月23日(土) 08時00分

振り込め被害額 東京は大阪の10倍 なぜ大阪で少ない?産経新聞

 ■おばちゃん、商人気質に撃退の秘訣あり

 東京都内で今年に入ってから毎月200件前後だった振り込め詐欺の発生件数が、8月に一気に340件となり、増加の気配をみせている。新たな手口が登場するたびに被害増加が繰り返されている「振り込め」だが、唯一の例外は大阪府。被害件数が少なく、住民1人当たりの被害額は東京205・8円に対し、大阪はわずか18・1円。専門家は大阪の「おばちゃん」と「商人気質」が重要なカギを握ると指摘する。大阪の風土が育む「振り込め」撃退のカギとは−。

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 都内では「2けた」の金額だと振り込みやすい被害者心理につけ込んだ「98万振り込め」が4月から増加。警視庁幹部は「成功率の高い新たな手口が詐欺グループ間で共有され、被害の全体数が押し上げられた。8月には“98万振り込め”が約6割を占め、発生件数が一気に300件台になった」と、注意を呼びかけている。

 一方、警察庁によると、交通関係を除いた刑法犯認知件数(平成16年では約256万3000件)で大阪府は全国の約10%を占めるにもかかわらず、「振り込め」の発生は例年1%程度しか確認されていないという。

 東京と大阪の今年1〜7月の「振り込め」の被害総額は東京26億100万円(発生件数1523件)、大阪1億6000万円(同237件)円。これを住民1人当たりに換算すると、東京205・8円に対し、大阪18・1円。大阪の被害は、東京の10分の1未満だ。

 警視庁が逮捕した私立札幌大の学生らによる振り込め詐欺の犯人は「東京は金持ちが多いと思った」と供述。一方、大阪府警が先月23日に逮捕した犯人は「大阪人は電話しても無駄が多い。なかなかひっかからない」とぼやいたという。

 このあたりに“被害格差”の原因がありそう。府警によると、電話をかけてきた犯人に「あんさんは、誰だんねん」「うちの息子は『オレオレ』いう名前とちゃいま(違います)」と、逆に質問攻めにして撃退したケースが多いという。

 「大阪人、とくにおばちゃんは、自分のイヤなことはイヤ、とはっきり主張する。話がおかしいと思ったり、疑わしい場合は躊躇(ちゅうちょ)することなく電話の相手に『怪しい』と意思表示できる」

 大阪文化を研究する相愛大学客員教授の前垣和義さん(現代大阪論)は、大阪の人たちの気質をこう解説する。

 大阪をはじめ、関西人でおなじみの「ボケ・ツッコミ」も重要なカギを握っているようだ。

 「大阪人は日常会話でボケ・ツッコミを楽しんでいるが、実は『ボケ』るには頭の機転が求められる。大阪人はふだんからボケを鍛えているので、予期しない電話にもとっさに対応できる」

 前垣さんによると、商人の街として商売人が厳しい競争を生き抜いてきた大阪では、近所とのコミュニケーションが今でも濃密という。

 東京と大阪の“被害格差”について、前垣さんは「大阪には、自分で判断できないときに隣近所の人に聞ける人間関係が残っている。東京ではそういった関係が希薄だから、一人で問題を抱え込んで『振り込め』の被害に遭うケースが多いのでは」と分析している。

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 《目標持った生き方大事》

 警察庁によると、今年の「振り込め」認知件数は7月末時点で1万591件、被害総額136億5525万円に上る。預金口座の転売を禁じた改正本人確認法の施行を受け、最近は、現金の送付方法を書留や小包、普通郵便にする手口が増えているという。

 「詐欺の心理学」の著書がある駒沢女子大教授の富田隆さんは「社会全体で、他人とのコミュニケーション力が低下していることが被害者が減らない一因。例えば孫と普段から触れ合いがあれば、交通事故を起こしたと電話がかかってきてもすぐに信じないし、近所に相談できる人がいれば金を振り込むケースは減ります」と指摘する。

 富田さんは、詐欺に遭わないために「目標を持って主体的に生きること」を勧める。「夢に向かって生きている人はだまされにくい。実現のために家族のサポートも得ようとするなど人間関係が広がっていくからです。親密な人間関係を持っている人はストレスにも強くパニックにも陥りにくくなります」と話している。
(産経新聞) - 9月23日8時0分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060923-00000004-san-soci