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2006年09月23日(土) 22時08分

<奈良女児誘拐殺害>26日判決 死刑の選択争点毎日新聞

 04年11月に奈良市で起きた小1女児誘拐殺害事件で、殺人やわいせつ目的誘拐など八つの罪に問われ、死刑を求刑された元新聞販売所従業員、小林薫被告(37)の判決が26日午前10時から、奈良地裁(奥田哲也裁判長)で言い渡される。広島市の小1女児殺害事件でペルー国籍の被告を無期懲役とした広島地裁判決(7月4日)を含め、犠牲者が1人のケースでは死刑を避けるのが一般的だ。奈良地裁は従来の判例を踏襲するのかどうか、その判断が注目される。
 ●隔たる主張
 最大の争点は死刑を選択するかどうか。検察側は論告で「抵抗のすべを知らない女児に自己の性欲を向け、7歳の生命を奪った冷酷非道極まりない犯行」などと動機や悪質性を厳しく非難。被害者数以外の要素を強調し、「被害者が1人であることは必ずしも死刑を回避する要素ではない」と死刑を求刑した。一方、弁護側は最終弁論で「被害者は1人で、顔を湯につける方法は死刑を選択するまでの凶悪行為とはいえない」として死刑回避を求めた。
 ●被告の言動
 被告人質問で、殺害状況について小林被告は「夢中で、可哀そうとは考えなかった」「こんなおれでもできるんだなと思った」などと答えた。
 昨年7月の第5回公判では「就寝前に手を合わせて拝んでいます」と初めて謝罪の意を示したが、その後は謝罪は口にしなくなった。また、「早く死刑になりたい」といった発言を繰り返した。
 ●遺族の思い
 今年5月の第8回公判で、被害女児の両親が意見陳述した。父は「時間は今も止まったままで、寂しさに押しつぶされそうで怖くて、気が狂いそうになります」と涙ながらに語った。小林被告に対しては「軽々しく死刑になりたいと言えるのは、後悔も反省もないから」と憤り、「極刑以上の刑を」と求めた。母も時折声を詰まらせながら「今は人とかかわることも、生きていることもとてもつらい」と訴え、「極刑に処されても許さない」と述べた。
 ●永山基準
 類似の事件では、広島市でも05年11月に小1女児が性的暴行を受け殺害されている。この事件の公判でも、地検は被害者が1人でも死刑を選択すべきだと主張したが、広島地裁は今年7月、殺人や強制わいせつ致死罪などに問われたペルー国籍の被告に無期懲役を言い渡した。この結論を導きだしたのが、永山則夫元死刑囚の最高裁判決(83年)で示された死刑選択基準(永山基準)だった。判決は、厳しい遺族感情に触れながらも、死者が1人で計画性がなく、前科も見当たらないことを理由に、「死刑適用は疑念が残る」と結論づけた。
 永山基準は(1)事件の罪質(2)動機(3)事件の態様(特に殺害手段の執よう性、残虐性)(4)結果の重大性(特に殺害された被害者の数)(5)遺族の被害感情(6)社会的影響(7)被告の年齢(8)前科(9)事件後の情状——を総合的に考慮して、死刑選択について判断すべきだとしている。
 ●起訴事実
 <わいせつ目的誘拐>04年11月17日午後1時50分ごろ、奈良市の路上で、1人で下校中の小1女児(当時7歳)に「乗せて行ってあげようか」などと声を掛け車に乗せ、わいせつ目的で誘拐した。
 <強制わいせつ致死><殺人>同3時20分ごろ、奈良県三郷町の自宅で、女児を浴室に連れ込み浴槽に沈めて水死させた。
 <死体損壊>同7時20分ごろ、自宅で遺体を傷つけた。
 <死体遺棄>遺体を車で運び、同10時ごろ、同県平群町の側溝に放置。
 <脅迫>同年12月14日午前0時ごろ、母親の携帯電話に女児の遺体の写真などを添付して「次は妹だ」と脅迫メールを送信。
 <強制わいせつ>同年9月26日、同県北西部で別の女児に声を掛け、体に触るなどわいせつな行為をした。
 <窃盗>同年6〜11月、同県や滋賀県内で女性用下着など31枚を盗んだ。
(毎日新聞) - 9月23日22時8分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060923-00000081-mai-soci