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2006年09月23日(土) 08時00分

中小企業支援/アニメ/ブランド商標 銀行が知財ビジネス活発化産経新聞

 銀行が知的財産権に関するビジネスを活発化させている。中小企業支援の一環で特許を信託したり、アニメなどの著作物のファンド化やブランド商標の流動化などの動きが広がっている。金銭価値の判断が難しく係争リスクも抱えるなど、知財特有の問題点もあるが、「知財先進国」の確立は日本の重要な国家戦略にも位置づけられており、今後一段と広がりそうだ。(柿内公輔)

 三菱UFJ信託銀行は一昨年、中小企業が多く集まる東京都大田区の外郭団体「大田区産業振興協会」と知財事業で提携した。区内の企業のもつ特許権を信託財産として管理し、企業にはライセンス料が入る仕組み。第1号として昨年、産業用部品メーカーと、油圧配管に関連した特許について契約を結んだ。

 今年は企業の特許情報に詳しいオリンパス系列の仲介業者とも提携し、中小企業の特許を大企業に積極的に紹介する支援ビジネスに進出する。

 中小企業は小人数で経営しているところが多く、三菱UFJ信託銀フロンティア戦略企画部の田中紳司統括マネジャーは「知財事務をアウトソーシングできるメリットも大きい」と指摘する。

 みずほフィナンシャルグループは、アニメ作品に関する信託スキームを数年前に作った。制作会社などが作品から将来得る収益(主にDVDなどの2次収益)の受給権を、金銭信託として証券化。みずほ銀行のほか制作会社などに譲渡する。すでに約100作品、30億円の投資実績がある。

 アニメは日本が世界に誇る文化だが、大手の制作プロダクションを除けば資金集めに苦労しているのが実情。みずほは、不況の出版界でも同様のスキームを手がけている。みずほ銀ビジネスソリューション部の榎本剛士参事役は「ITや半導体などの産業界にも広げたい」と話す。

 三井住友銀行は、服飾ブランドの商標を流動化するビジネスを手がけている。ブランド商標の保有会社からSPC(特定目的会社)に商標権を移転する際、その買い取り代金を三井住友銀がSPCに提供。商標が将来生む収益が三井住友銀にかえってくる仕組みだ。

 三井住友銀の辻孝文・スペシャライズドプロダクツグループ長は「商標は種類も数も多く、知財では係争リスクが比較的少ないので、関連ビジネスが今後活発化する余地は大きい」と話す。

 ただ、知財ビジネスならではのリスクもある。最も多いのが、似た特許の保有者などから提訴されるケース。商標などを除けば、「知財は過去の実績などから金銭価値や収益性を試算するのが難しい」(弁護士)。

 政府の知的財産戦略本部が、企業の知財専門家の育成に向けた推進計画をまとめるなど、知財産業拡大への環境づくりが整いつつあるが、「税制優遇なども検討されるべき」(同)との指摘も出ている。

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【用語解説】知的財産権の信託

 信託法が平成16年に改正され、知的財産権の信託ができるようになった。それまで信託できる財産は金銭や不動産など6種類に限定されていたが、特許権や商標権、著作権などの知的財産権も対象に認められた。知財の活用やリスクの分散・移転などがしやすくなる効果が期待されている。
(産経新聞) - 9月23日8時0分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060923-00000005-san-bus_all