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2006年09月22日(金) 00時00分

悩みメールラジオに続々「説教でなくつながる感覚」朝日新聞

 中高生向けラジオ番組に、個人的な悩みがメールで続々寄せられている。親子問題の悩みを募った番組のホームページは月間4000万ビューを記録し、月に数千通の相談が届く番組もある。制作側も、悩めるリスナーとどう寄り添うべきか模索している。

 TOKYO FMの「スクール・オブ・ロック!」(月〜金曜、午後10時)は、メーンパーソナリティーの男性2人に日替わりのレギュラーが加わり、普段はリスナーとの恋愛相談、トークやゲームに興じる、ゆるい空気が持ち味だ。

 だが番組ホームページや掲示板には、昨年10月の放送開始直後から、いじめ、レイプなどの悩み相談が届くようになった。深刻な内容には番組スタッフらが電話やメールで、継続的に相談にのってきた。

 「本人の心のケアを優先し、個別に対応する一方で、番組で話をすることで何かが生まれると思える子には登場してもらうことにした」と森田太ディレクター(36)。今年春には、不登校のリスナー2人と直接電話でやりとりした。

 親子関係の悩みが目立つため、8月14日から3日間、「親子問題」を特集したところ、「パンドラの箱を開けたように」(森田さん)メールが殺到。親からの虐待体験など生々しいメールを、あえて番組で紹介し、パーソナリティーが直接本人と話し合った。

●閲覧数200万件

 掲示板には励ましの書き込みが深夜まで続き、ホームページのビューは3日間で200万件に達した。

 「リスナーが先か、番組が先か。考えた末、子どもたちの居場所になる『教室』を作ろうと思った。一日中掲示板で盛り上がっている中へ、夜になると僕らが入っていく。説教ではなく会話することで、つながる感覚を取り戻したい」と森田さんは語る。

 ヤンキー先生こと義家弘介さんが相談に乗るニッポン放送の「夢は逃げていかない」(日曜、午後11時20分。10月8日から深夜0時)は親への不満、不登校などをテーマに、毎回相談者4人ほどが出演する。

 これまでは電話でやり取りするだけだったが、先月初めて、義家さんは、ある中学2年の女子生徒に会いに行った。いじめの悩みで7、8回、番組で相談にのったが解決せず、9月から転校を控える彼女に、再度いじめに遭わないための助言をしにいくことにした。

 「リスナーからも放っておいてはダメという声があった」と宅野淳ディレクター(45)は話す。本人は発熱で来られなかったが母親と話し合い、その模様を放送。彼女はその後、新しい学校で部活動も始めた。

●相談に限界も

 しかし限界もある。「ラジオではあくまでもアドバイスしかできず、万一のことがあっても責任はとれない」と宅野さん。性的暴力や心の病にかかわる相談は、取り上げにくいジレンマもある。

 中高生向けの「レコメン!」(月〜木曜、午後10時)を放送する文化放送は、悩み相談メールが月に数千件届くが、「時間的な制約がある中、中途半端には対応できない」と、深刻なケースは取り上げないという。

 日本臨床心理士会の平野学事務局長(52)は、専門家ではなくとも、ラジオの“隣の兄貴”が相談に乗ることで「共感や一生懸命さが伝わるよさがある」という。「ただし、できることとできないことのラインは引いておいた方がいい」とアドバイスする。

 ちなみにこれらの番組への相談は、8割以上がメール。匿名で打ち明け話ができることで、敷居が低くなった面もありそうだ。

 35年の歴史を持つ「いのちの電話(東京)」でも、近くメールでの受け付けを始める。開設時より30%減った10〜20代の相談を、受け止めるためという。三崎由美子事務局長(60)は「本当は電話が望ましい。相談員は話し方、後ろの物音などからも言葉にならない真実を読み取ります。きっかけがメールでも、直接話ができるよう働きかけたい」と話している。

http://www.asahi.com/culture/tv_radio/TKY200609220255.html