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2006年09月22日(金) 00時00分

『こち亀』連載30周年 変わらぬ人気 破天荒 下町と共存 東京新聞

 人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が連載三十周年を迎えた。主人公の両津勘吉は、物語の舞台に銅像が建つなどすっかりヒーロー。子どもから大人まで、幅広く長く愛される秘密を、作者の秋本治さん(53)とともに探った。

 ▽大人も一緒に

 「こち亀」は、東京・亀有生まれの秋本さんが一九七六年から「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載を始めたギャグ漫画。派出所勤務の破天荒な警察官、両さんが巻き起こす騒動を描いて人気を獲得し、コミックスは既に百五十一巻。累計で一億三千五百万部以上を売った。

 連載二十周年ごろからテレビアニメが始まり、アニメで声を担当するラサール石井さんが舞台化も手掛けた。さまざまな両さん像を意識することで「新たな刺激を感じ、飽きずに続けられた」と秋本さんは振り返る。

 少年雑誌の漫画でありながら他と一線を画すのは情報量の多さ。身近な遊びからマイホームや海外旅行、インターネットまで、時代ごとの風俗や流行を取り込み、せりふやストーリーに生かす。

 「大人と一緒に読める漫画に」と工夫を凝らす秋本さん。「ある程度大人に向けて描いても、子どもは付いてくる。後で調べて分かってもいいんです」

 そのために、日々、感性をとがらせ網を張っている。「新聞やテレビのほか、電車に乗ったり盛り場を回ったり。世の中の動きをキャッチして、漫画に使えるものをより分ける」という。素材は果てしない。「毎回、どんな話が出るのかと、わくわくしてもらえるのが理想です」

 ▽下町の懐かしさ

 東京の下町の風景も丁寧に描かれる。同世代の人には懐かしく、子どもたちには「こんな時代があったことを知ってほしい」というメッセージ。現在ではほとんど見られなくなった風俗も織り交ぜる。社会の変化は早いが「この作品には、消えゆくものを残していく役割もある」との思いからだ。

 連載三十周年を記念した本「超こち亀」では、さいとう・たかをさんら人気漫画家との合作が実現。ゴルゴ13やキン肉マンが両さんの世界に入ってくるなど、ファンの話題を呼びそう。週刊少年ジャンプも、表紙や巻頭カラーなどで大特集を組んだ。

 秋本さんは「落ちこぼれだけど元気で前向き。友情が一番の宝物だというテーマを胸に描いている」と話し、一人で悩む子どもたちに「(こち亀を通じて)人と人との付き合いを少しでも分かってほしい」と願っている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060922/eve_____sya_____002.shtml