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2006年09月22日(金) 22時20分

Web 2.0の流れは「消費者から企業へ」--進む「IT技術のコンシューマー化」CNET Japan

 バージニア州タイソンズコーナー発--米国時間9月20日に開催された会議「The New New Internet - Web 2.0 Conference」の講演者たちによると、Web 2.0の概念は企業の「ファイアウォール」の内側に浸透しつつあるが、システムの複雑さと管理上の懸念から、企業におけるWeb 2.0技術の採用は依然としてコンシューマーに遅れをとっているという。

 Ajaxを使ったウェブ開発、RSS、ブログといった技術は、たしかにビジネスの分野でも利用が進んでいるものの、たいていは小規模か、実験的な導入にとどまっている。また、Wiki、タグ付け、ウェブベースのソーシャルネットワーキングなどが持つ、人と人とのつながりを促進するという側面は、 働く人たちの間でのコラボレーションの向上 にも役立つと、講演者たちはその利点を述べた。

 過去においては、率先して新技術を採用するのは常に企業の側で、コンシューマーにまで新技術が行き渡るには時間がかかっていた。だが、この関係は今では完全に逆転していると、Googleのエンタープライズ事業部でプロダクトマネジャーを務めるRajen Sheth氏は指摘する。

 「ビジネスにとってのWeb 2.0とはすなわち、ITのコンシューマー化だ」と、Sheth氏は語った。

 たとえば、Googleではコンシューマー向けに開発したホスティングアプリケーションを社内でも活用している。Googleの社員はたいてい、ウェブベースの「Gmail」を使い、膨大な電子メールを検索可能なデータベースとして利用している。また、プロジェクトに即した人的ネットワークを広める目的で、Googleの各社員は、プロフィールのページで進行中のプロジェクトの情報を継続的に提供していると、Sheth氏は説明する。

 コンシューマー市場は企業への販売手法にも影響を与えている。企業を対象としたテクノロジベンダーが、「購入前のお試し」という、コンシューマー向けに使われてきたマーケティング手法を、企業にも用いるようになったのだ。

 製品の販売についても、IT担当の企業幹部を対象とした長期間の営業活動の結果ではなく、最初に家庭で試用したであろう従業員によって購入されるケースが増えている。また、大半の企業向けアプリケーションとは対照的に、Web 2.0の製品はシンプルであり、多くの機能を盛り込むよりも数点の機能に絞り込んでいると、Sheth氏は指摘する。

 「『 Google Apps for Your Domain 』(ホスティングアプリケーションのバンドル)は、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)を提供し、各企業がGoogle(のデータセンター)のインフラを活用可能にする試みの最初の一歩だ。こうしたアプリケーションの多くは、コラボレーションに重点を置いている」(Sheth氏)

 しかし、The New New Internet会議に出席した技術専門家のパネリストからは、企業顧客のニーズは大幅に異なるとの反対意見も出た。企業は本質的に、個人からなるコンシューマーよりも状況が複雑だというのだ。

 Nexaweb Technologiesの最高経営責任者(CEO)のChristian Heidelberger氏は「消費者向けアプリケーションでは、必要とされるものが異なる。コンシューマー個々人が求めるのは、時間の節約と生産性の向上だ。これに対し、企業では集団としての生産性を向上させようとする」と述べた。Nexawebは、双方向的なグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を備えた、いわゆるリッチインターネットアプリケーションの構築ツールを開発する企業だ。

 さらにパネリストたちは、企業は、すでに導入されている個々のアプリケーションをどう統合していくかという厄介な問題を抱えていると指摘した。たとえば、顧客サポートシステムの情報をWikiに移管しようとすると、プログラマーによるコーディングや細々したメンテナンス作業が必要になる可能性がある。

 また、パネリストからは、Ajaxや「Flash」、Adobe Systemsの「 Apollo 」などの双方向ウェブプラットフォーム製作用フロントエンドツールを使うことで、今後は企業がバックエンドのデータにアクセスする際にも、より容易にウェブの標準や技術を使用可能になるとの声もあがった。

 一方、コンサルティング企業Sphere of Influenceの最高技術責任者(CTO)で、ブログ「Enterprise Web 2.0」の著者のDion Hinchcliffe氏は、現段階では、多くの場合ネットワークがダウンしてしまったら機能しないという点で、ホスティング型デスクトップアプリケーションなどのWeb 2.0アプリケーションには本質的な限界があると指摘した。

 しかし、Laszlo SystemsのCTO、David Temkin氏はこの意見に反論し、ホスティングアプリケーションはコンシューマー間に急速に浸透していると述べた。

 「ユーザーは、このような形で配布されるアプリケーションに慣れてきており、職場でも同じものを期待している。消費者市場で起きている現象により、こうした時代の流れも安心して受け入れられている」(Temkin氏)問題は管理

 会議では、従業員がブログやマッシュアップサイトを通じて社外のウェブサービスと情報を共有できるようになると、企業ユーザーにとっては重大なセキュリティ問題の種になりかねない、と懸念する声も上がった。

 プロジェクトごとのコラボレーションや、複数のコミュニケーション手段の導入を推進すれば、たしかに有益な面もあるだろう。しかしその場合、従業員には使用指針が、そしてIT管理者にはこれらの指針を制御するツールが必要になる、とAjaxツール開発企業JackBeのCTO、John Crupi氏は指摘する。

 「以前わたしが勤めていたSun Microsystemsでは、皆ブログを使用していたが、1つだけルールがあった。バカなことはするな、というルールだ。解決策は1つだけということはないだろう。しかし、(コミュニケーションを)奨励しつつも、制御する方法を模索しなければならない」(Crupi氏)

 一般的に、企業はウェブ関連の新興企業と組んで業務を進めることに消極的だ。そして、Web 2.0のビジネスモデルには、その有効性が完全に実証されていないものも多い。

 「率直に言って、Web2.0にも、これではWeb 1.0ではないか、と感じさせる要素がある--すばらしいアイデアを思いついた、これでひともうけできれば最高だろう、といった考え方だ。たとえば、ソーシャルネットワークを任意のアプリケーションに機能として組み込むとする。たしかにすばらしいアイデアだが、それをどうやって利益に結びつけるのだろう? その答えは今のところ出ていない」(Temkin氏)

 それでも、会議では多くのWeb 2.0型サービスが企業のビジネスに組み込まれていくに違いないとの意見が聞かれた。一般ユーザー向けのウェブの世界における革新はめざましく、個人のウェブアプリケーション構築を支援するツールもますます強力になっているからだ。

 また、アナリストによると、SAPやMicrosoft、IBMなどのような大手ベンダーもこうした技術やコラボレーション手法に注目しており、将来的には企業向け製品に組み込んでいく見通しだという。

 ニュース配信企業VoxantのCEO、Jeff Crigler氏は、「ITにおける集中管理の度合いは、数年単位で揺れ動くものだ」と指摘する。

 「現在と昔の違いは、以前は思いどおりのことをするのはコストがかかり、技術的にも非常に困難だったという点だ。今は、アプリケーションが発達し、『14才の息子ができるのなら、わたしにもきっとわかるだろう』と考えられるところまで来た」とCrigler氏は語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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[CNET Japan]
http://japan.cnet.com/
(CNET Japan) - 9月22日22時20分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060922-00000009-cnet-sci