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2006年09月22日(金) 21時20分

<著作権>文芸家協会などが保護期間延長を要望毎日新聞

 日本文芸家協会など著作権を管理する16団体でつくる「著作権問題を考える創作者団体協議会」(議長・三田誠広日本文芸家協会副理事長)は22日、文化庁に対し、著作権の保護期間を著作者の死後50年から70年間への延長を求める要望書を提出した。
 映画とアニメーションは04年の法改正で公表後70年に延長済みで、協議会は文芸や絵画、作詞作曲、写真などの著作物を管理する団体から成る。三田議長は提出に先立ち東京都内で記者会見し「70年が国際的なレベルであり日本だけ50年なのは、創作者の権利のはく奪だ。文化先進国として恥ずかしい」と要望の趣旨を説明。さらに「延長により作家の創作意欲が高まる。生前作品が売れなくても没後に評価され配偶者や子どもに財産権を残すことが励みになる」と話した。
 一方で、著作権の切れた文学作品をボランティアでインターネット上で公開している「青空文庫」などに言及。保護期間内の作品公開に際し、著作権継承者との交渉を文芸家協会が行うなど配慮していく考えを明らかにした。また日本漫画家協会の松本零士・常務理事は「今も私の知らないうちに私の作品がネット上などで使われている。私は死んでいないので文句が言えます。どうか世界レベルにしてほしい」と創作者の立場で訴えた。
 要望を受けた文化庁は07年2月以降の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会で検討し、著作権分科会で承認が得られれば、著作権法の改正を経て09年にも延長が実現する。しかし、大学教授ら小委員会のメンバーの中には「安易に延長の方向に進めることはない」と慎重論もあり、審議は難航する見通しだ。【手塚さや香】
 ◇国際的な保護レベル訴え=解説
 著作権の保護期間が切れると、著作物は「パブリック・ドメイン」(PD)となり、許諾を受けたり使用料を払わなくても、原則だれでも利用できる。05年に「星の王子さま」の翻訳本が日本で多数出版されたり、映画「ローマの休日」の廉価版DVDの販売が始まった(訴訟継続中)のはこのためだ。
 16団体は「国際的な保護レベルに引き上げることが創作意欲につながり政府が目指す知財立国の実現になる」と訴える。要望の背景には、主要国が加盟している「ベルヌ条約」の存在がある。この条約では、著作権の保護期間について、海外の著作物は、その国の著作権法による保護期間が70年であっても日本では50年しか保護されない。逆に日本の著作物も海外で50年しか保護されない。
 しかし、政府の知的財産戦略本部関係者からは「現状で圧倒的に日本への輸入が多い欧米との関係では、延長による経済的損失の方が大きい」との懸念が出ている。
 ある専門家は「延長は個人ユーザーにはメリットがない。逆に延長により、出版もされずネットにも公開されない『眠っている作品』が増える」と話す。米国でディズニー作品の保護期間がズルズルと延長されている経緯もあり、延長は著作権料により利益を得ている一部の企業のためという一面も垣間見える。
 詩人の高村光太郎、日本画家の横山大観、俳人の高浜虚子、作家の永井荷風らの作品が5年以内にPDになる。文化芸術の発展とコンテンツ輸出入という経済的側面の両方から著作権を考えなければならない。【戸澤美佐】
(毎日新聞) - 9月22日21時20分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060922-00000103-mai-soci