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2006年09月21日(木) 00時00分

デートが心配朝日新聞

 ◆互いに目を見て話そう◆

 不謹慎かもしれないけれど、連れ立って歩いているカップルに興味がある。繁華街で、駅のホームで、映画館で、スーパーで、それとなく関心を持って眺めるといろんな発見があっておもしろい。カップルは別に恋人同士でなくてもよく、年齢にもこだわらない。

 ファッション街で耳にする会話は「この店センスがいいね」とか「あのカフェのケーキがおいしいからそこでお茶しよう」とか、心なしか気取って聞こえる。お年寄りがスーパーのレジで重い買い物袋を分け合っている光景はほほえましい。美術館のロビーで語らう高校生や、夕暮れ時の河原で寄り添うカップルは遠目からは絵になる。数日前、駅のホームで、ペットボトルで相手の女性をたたいている男子高校生を見た。ふざけあっているのか、それともばかにしているのか……。

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 デートはロマンチックで楽しいばかりではない。いま若いカップル間で問題になっているデートレイプをご存じだろうか。レイプというと見知らぬ人から暗がりで、というイメージがあるが、実際は顔見知り、恋人、元カレだったりする。恋人同士でも、無理やり性行為をするのはレイプになる。見知らぬ者によるレイプよりずっと多い。女子大生の6人に1人がレイプあるいはレイプ未遂事件の被害者になっているという報告もある。

 以前、男子高校生が「女の子は普通一度は拒む。だから少々強引に迫るくらいのほうがいい」と言っていたのを聞いて驚いた。一方で、10代後半のある女性は「彼が私の友人関係を口うるさく言う。したくないときでもセックスを求められる。でも多分それは私を独り占めしたいからだと思う」と言った。恋人に性行為を強要されても、それがレイプという認識がなく、愛情と思い込んでいる女性がいることにも危うさを感じる。

 「もう彼とは別れたい。でもそれを言うとなおしつこくつきまとう」「暗い顔したら、深夜すごい乱暴な運転されて怖かった」。一度は自分が好きになった相手ということもあって、だれかに相談しにくいのもわかる。だが徐々にエスカレートしていくのが心配だ。

 暴力は許すわけにはいかない。でも、許さないと叫ぶだけではだめだ。私たちの心の奥に根を張っている、男は精力的なほうがいいとか、女は受け身なのが可愛いといった先入観についても問い直す必要がある。もちろん、そうでない若者もいるけれど。

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 それらを前提にして、デートにあこがれる10代の若者に言いたい。

 付き合い始めたら自分勝手な憶測はしないこと。相手やまわりがどう思うかではなく、自分が感じたことをしっかり主張すること。こちらがきちんとことばや態度で伝え、相手の同意があってセックスははじめて成り立つ。早く体験しなくちゃなどとあせることはない。徐々に相手を知っていくプロセスもなかなか楽しいもの。妊娠したくないカップルが避妊具を使わないのは暴力行為に等しい。そうそう、それ以前に、話すときには相手の目を見ること。お互いケータイばかり見つめているデートなんて、あまりにも淋(さび)しすぎると思いませんか?

(セクシュアリティ・カウンセラー)

http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000140609210001