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2006年09月20日(水) 03時08分

<多重債務>簡裁が不当な調停…東京地裁、誤りを指摘毎日新聞

 債務整理の特定調停で簡易裁判所から消費者金融へ返済するよう決定を受けた愛媛県の女性(64)が、調停を不服として起こした国家賠償請求訴訟で、東京地裁の裁判官が、請求を棄却しながらも、「不当な調停だった」と誤りを指摘していたことが分かった。利息制限法(年15〜20%)を超える利息の過払い分は、基本的に取り戻せることを調停委員らが十分認識していなかったためだ。多重債務者の債務整理は増えているが、各地の調停で裁判官の認識不足が指摘されており、司法救済が十分機能していない実態が浮かんだ。【多重債務取材班】
 この女性は98年7月、消費者金融6社からの借金計170万円について特定調停を四国中央簡裁に申し立てた。しかし調停委員や書記官は利息制限法を超えるグレーゾーン金利による利息は、債務者が自ら進んで支払う場合以外は無効であることを認識せず、業者の要求に加え、遅延損害金を含む197万円の返済を決定した。
 女性は決定に従い、月8万円ずつ、計100万円以上を支払い続けたが、体調が悪化し、支援団体に相談。弁護士が計算したところ、3社分は95〜97年に返済を終え、65万円の過払いになっていたことが判明した。調停の違法性を訴え、国家賠償を求め提訴した。
 東京地裁は今年3月、国家賠償にそぐわないとして請求を棄却したが、裁判官は「(調停は)不当との批判があてはまる」「庶民のための裁判所として機能していなかった訴えを真摯(しんし)に受け止めるべき」と述べた。女性は「どこかで歯車が狂った人生を調停でやり直せると思っていたのに」と悔やむ。
 同じように、埼玉県内の男性(64)は大手5社の借金が272万円に膨らみ、03年に特定調停を申し立てた。契約書によると契約開始は5社で85〜93年だったが、調停で業者が提出した取引の履歴は92〜99年分にとどまり、これに基づく計算では債務が計26万円とされた。しかし、弁護士の計算では5社への過払い分が770万円を超えた。
 最高裁の簡易裁判所向けの調停マニュアルでは、取引履歴を全部開示させることを求めている。男性は業者へ返還請求をしている。
 調停問題に詳しい司法書士の水谷英二さんは「弁護士らに頼れず自力で債務整理しようとする人にとって、特定調停は非常に頼りになるはずだが、不勉強な調停委員や書記官が業界寄りの決定を出すケースは少なくない」と指摘する。
 ◇特定調停 債務者が裁判所に申し立て、調停委員の仲介で債権者と話し合い、返済計画を立てる手続き。手続き中は支払いはストップし、取り立ては受けない。債務は利息制限法(年15〜20%)で計算し直されるのが一般的。自己破産の急増を背景に00年2月、特定調停法が施行された。最高裁によると、全国の簡裁が受け付けた件数は、00年度の21万件から05年度には27万件に増えた。
(毎日新聞) - 9月20日3時8分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060920-00000019-mai-soci