悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年09月20日(水) 14時22分

消費者金融大手3社 借り手に保険、廃止検討朝日新聞

 消費者金融大手アイフル、プロミス、三洋信販の3社は19日、借り手の死亡時に備え生命保険をかける制度について、廃止も含めて見直しを検討していることを明らかにした。制度を巡って「命を担保にしている」との批判が高まり、保険の引き受け手である生保業界は加入手続きの厳格化を求める方針。消費者金融側にとっては事務コスト増が見込まれるのが確実で、今後、見直しの動きが広がりそうだ。

 この制度は、消費者金融会社が保険料を負担して「消費者信用団体生命保険」に加入し、借り手の死亡時に消費者金融に保険金(300万円が上限)が支払われるのが一般的な仕組み。保険への加入を貸し付けの条件としているが、加入への同意書が借金の申込書と一体となり、知らぬ間に命を担保にされている実情に批判が高まった。

 消費者金融側が見直しに動き出したのは、批判の高まりに加え、金融庁の指導で生命保険協会が保険への加入同意書を借金の申込書と分けるなど、借り手からの同意手続きを厳格にする指針を決めたためだ。

 生保の指針は、原則全員加入から任意加入への変更を、消費者金融側に例外なく求めることなども検討している。消費者金融側は各種のシステム変更に費用がかかるうえ、窓口対応などの事務量も増えるのが確実だ。

 さらに、消費者金融大手幹部は「加入の告知や同意手続きをきちんとできるか、不安もある」と漏らす。選択制にした場合には加入者が減るとみられ、保険料が値上がりする可能性もある。

 そのため、大手3社は「やめることも含め検討中」(プロミス)などとして見直しに着手した。3社以外でも、大手のアコムも「現時点ではやめることは検討していないが、今後はありうる」としている。

 消費者金融業界は生保加入の制度について、これまで「遺族に借金返済の負担が及ばないようにする借り手へのサービス」との立場で、ある大手幹部は「受け取る額より、保険料のほうが高い」と話す。

 制度廃止の場合、法律上は借り手の遺族に借金が引き継がれ、新たな問題を生むことになりかねない。消費者金融大手は「実際に遺族に負担してもらえるのか」と話し、債権の放棄についても今後議論になりそうだ。

 金融庁の調査では、消費者金融大手5社が05年度に受け取った死亡保険金は約4万件で、うち1割近い3649件の死亡理由が自殺だった。事実上命を担保にしている制度の存在が、厳しい取り立てや借金苦による自殺を助長している、との指摘も出ている。

 生保協会によると、消費者信用団体生保は生保19社が、消費者金融を主体に27社向けに取り扱っている。3月末時点の被保険者数はのべ約2200万人で、保有契約高は約8兆4000億円。団体保険の保有契約高全体に占める割合は2.2%。

http://www.asahi.com/business/update/0920/099.html