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2006年09月19日(火) 05時08分

吉野家の牛丼1日限りの復活 ブーム再来なるか?!朝日新聞

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1日だけの牛丼の復活に、店頭の販売所には販売開始と同時に行列ができた=18日午前、大阪市西区で、新井義顕撮影

 「牛丼の大御所」吉野家が18日、長いブランクを経て1日限りの販売に踏み切った。BSE(牛海綿状脳症)問題で広がった牛肉への不安や仕入れ価格の高騰は、今も牛丼業界に暗い影を落とす。牛肉離れが進む中、米国産の輸入再開を機に、牛丼ブームは再来するのか。今後の消費者の動向が、外食産業全体の注目を集める。

 台風13号の暴風警報が発令された松江市の「9号線松江店」では、約70人が列を作った。市内の男性(41)は「台風なんて関係ない。この日を待ちこがれていました」。

 神戸市中央区の神戸元町店でも午前中、約50人の列ができた。一番乗りは岡山市の会社員佐々木賢さん(47)。「正午から神戸で仕事があるが、どの店に行けば仕事に間に合うのか、3週間前から研究した」

 大阪市西区の阿波座店は、午後1時ごろまで客の列が途切れることはなかった。同市浪速区の会社員山口智裕さん(38)は「米国産の安全性を疑問視する声もあるが、きちんと検査しているので大丈夫でしょう」。

 吉野家によると、10月と11月はそれぞれ1〜5日の5日間、12月は時間帯を決めたうえで連日、牛丼を販売する計画だ。

 「すき家」を展開するゼンショーは15日、昨年11月に新設した「食品安全追求室」のコーナーを自社のホームページに設けた。米国産について「安心して食べてください、と言える段階ではない」と主張。「米国での検査にも立ち会い、安全と確認できた」と、米国産にこだわる吉野家との違いを際立たせた。

 ゼンショーは04年9月、豪州産牛肉で牛丼を販売。売上高は好調に推移し、今年4〜8月も前年同期より約1割多い。昨年8月には「なか卯」を子会社化し、グループの国内店舗数は吉野家を上回った。「吉牛復活の影響はほとんどない」と自信を見せる。

 04年10月に「牛めし」を復活させた松屋フーズも、今はすべて豪州産。「米国産当時の味の方がいい、との声はあるが、どれぐらいの消費者が米国産を食べてくれるか、まだわからない」(同社広報・IRグループ)。

 総務省の家計調査によると、1世帯あたりの年間牛肉購入量は、00年の1万134グラムから05年には7195グラムに落ち込んだ。BSE騒動に加え、消費者の健康志向が影響しているとみられる。

 ファストフード店の勢力図も様変わりした。外食チェーン店約800社が加盟する日本フードサービス協会の調査では、牛丼や天丼を出す「和風」店の客数は米国産の輸入禁止で激減したのに、回転ずし店やめん類店は着実に顧客を増やしている。

 全国で約180店舗を展開する「ラーメン一番本部」(大阪市)の広報担当者は「この数年で、米国産を食べなくても困らないと感じた人は多いはず。牛丼への回帰はないのではないか」。

 一方、牛丼好きで知られる経済評論家の森本卓郎さんは「牛肉が安く手に入るようになれば低価格競争が起き、ブームが復活する可能性はある」と指摘する。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200609180006.html