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2006年09月19日(火) 01時22分

9月19日付・読売社説(2)読売新聞

 [ミクシィ上場]「IT業界に新たな旗手の登場か」

 日本のインターネット業界では久々に明るい話題だ。

 ネット企業「ミクシィ」が東証マザーズに上場した。

 売上高は18億円、利益は5億円の、小さな新興企業だが、上場した14日は、買い注文が殺到して初値がつかないほどの人気を集めた。週末の終値(312万円)で計算すると、時価総額は2000億円を超えている。大企業にも劣らない。

 情報技術(IT)業界では、新興企業の多くが2000年ごろ失速し、バブル崩壊と言われた。それを生き延びた企業も、今年1月のライブドアの粉飾決算事件発覚で市場の熱が冷め、株価が低迷していた。

 米国では、「ウェブ2・0」と呼ばれる新技術を使ったネット事業が相次いで登場している。ネット検索サービスを提供する「グーグル」など、世界を席巻する勢いの企業も数多い。

 日本には、そうした勢いのある企業は見当たらない。ミクシィへの評価は、市場が、国内のネット業界に大きな期待をかけている、ということだろう。

 ミクシィは、ネットを通じて仲間同士が交流する「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)」を運営している。交流といっても、ネット上に日記を書いたり、仲間とメッセージを交換したり、と目新しいものではない。

 特徴は、互いに身元を明かす点だ。会員は、自分のページに身元を書かなくてはならない。匿名が主流の通常のネットサービスと違って、嫌がらせのメッセージを送りつけられることなどが起きにくく、安心して仲間と交流できる。

 特にミクシィでは、会員になるのに会員の紹介が必要なため、仲間同士の「確認」がより確実にできる。この安心感が人気を呼び、2004年2月に開設して以来、会員数は570万人に伸びた。国内のSNSでは最大手だ。

 通常の利用なら無料で、収入は、ネット上に掲載した広告料で賄う。会員の年齢や性別、嗜好(しこう)を基に対象を絞れるため広告は順調に伸びている。

 市場の評価は、こうした効率のいいビジネスモデルに対するものだろう。しかし、ヤフーなどネット大手もSNSに本格参入し、競争は激化している。

 最大の売り物である「身元の分かる安心感」も、ウソの登録まで排除できるような仕組みではない。会員数が膨らめばトラブルも起きるだろう。

 SNSは、もともと03年に米国で始まった。日本独自のアイデア・技術ではない。ミクシィのビジネス展開は今後、一層の改良と工夫が必要だろう。他のIT業界も、技術を磨き、ネット事業の新潮流に乗り遅れないよう期待する。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20060918ig91.htm