悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年09月18日(月) 00時00分

2ちゃんねるから匿名で支援の動き朝日新聞

須賀川市の市立第一中学校で03年、当時中学1年生だった女子生徒が柔道部の練習中に頭を打ち、いまも意識不明となっている事故で、女子生徒や両親を応援しようと、匿名の支援者たちが動き出した。新聞やワイドショーの報道を受け、約2週間前からインターネットの掲示板で、折り鶴や寄付を贈って女子生徒を応援しようというやりとりが交わされ始めたのだ。(上田真由美)

 支援のきっかけは、インターネット上で多様なテーマに沿った掲示板を集めているサイト「2ちゃんねる」。8月末、ニュース速報を伝える掲示板に、女子生徒の両親が、学校側が安全への配慮を怠ったなどとして、市などを相手取って介護費などを求める訴訟を起こした、という情報が載った。

 事故後、両親が独自に行った聞き取り調査では、女子生徒は部活の先輩である当時13歳の少年(16)に、何度も頭から投げ下ろされたと話す生徒が複数いた。「乱取り」練習中に突然倒れたという学校側の事故報告書とはかけ離れた内容だったと、報道された。

 「この事件はあまりにもひどい」——。今月上旬から「2ちゃんねる」のサイト内に、専用の掲示板が複数できた。事件に関する過去の新聞記事、須賀川市議会の議事録などを見つけた人たちが、次々と載せた。事件への怒りは、次第に女子生徒を支援したいという動きになっていった。

 「快復を祈ってそれぞれが千羽鶴を折って贈ろう」「介護費がかさむだろうから、現金を寄付したい」「女子生徒の両親に口座を開設してもらい、各自が寄付を振り込んだらどうだろうか」——。さまざまな支援策がネット上で議論された。

 行動を起こした人もいる。愛知県に住む女性は、応援のメッセージを書いたカードをつくった。掲示板の中から「小さいことでもいいから何かしようぜ」「女の子がびっくりして目を覚ますくらい鶴折るよ!」など、匿名の支援者たちの気持ちが伝わると思う部分を抜粋し、カードに添えた。思い立ってすぐ新幹線の切符を買い、朝日新聞福島総局を訪れ、カードとともに両親にあてた手紙を託した。

 女性は自らもパニック障害に苦しんでいるという。発作のとき目の前が暗くなり、息が苦しくて体が震え、鉄箱に閉じこめられているような感覚になる。女子生徒が、苦しいときの自分と重なったという。

 16日、女性が書いたカードを受け取った母親(43)は、いまだに意識が戻らない娘の枕元に、そっとカードを置いた。「匿名の支援者」たちからは、女子生徒が在籍する養護学校や市議のもとにも、手紙や折り鶴を仲介してほしいという便りが届き始めている。両親は、お金の支援は遠慮したいとした上で、「会ったこともない人までが、応援してくださっていることは、それだけで心強くて、励まされます」と話している。

 一方、掲示板には、女子生徒を投げた少年や、学校、市教委への怒りの文章もあふれている。最近、学校や市教委にも、匿名の苦情の電話が何件も寄せられているという。

 事故当時の顧問の男性教諭(42)と副顧問の男性講師(31)が、業務上過失致傷容疑で書類送検されてから、20日で1年。その日、女子生徒は、意識を失ってから3度目、16歳の誕生日を迎える。

http://mytown.asahi.com/fukushima/news.php?k_id=07000000609180001