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2006年09月17日(日) 12時02分

振り込め詐欺:体験者が巧妙な手口語る−−那珂川町の65歳男性 /栃木毎日新聞

 県内で再び急増の兆しを示す振り込め詐欺事件で、実際に詐欺犯の送金要求を体験した、那珂川町大内に住む運送業の男性(65)が16日、毎日新聞などの取材に応じ、振り込め詐欺の詳細な手口を明らかにした。
 男性方には今月13日、長男を装った男から「株でやられた。200万円振り込んでほしい」と電話があった。しかし、男性は「きちょうめんで堅い息子が株に手を出すはずがない」と思い直し、事件は未遂に終わった。男性は「(男は)長男が風邪を引いた時の声に似ていた。予防策としては、何より本人に直接確認すること」と話した。また、詐欺犯に対しては「人をだますのをやめ、まともに働いてもらいたい」と呼び掛けた。
 詐欺犯の巧妙な手口を再現した。【山下俊輔】
 ■本人に確認、未遂に
 <犯人とのやりとり>
 ◇携帯番号が変わった、前の番号を消して
 ◆1回目 9月13日(水)午前11時過ぎ(家の電話が鳴る)
男 オレなんだけど。携帯電話の番号が変わったんだ。番号を言うから控えて
——分かった
男 090・5205・××××。前の番号を消して新しい番号を登録して
——分かった
 《男性は、電話の相手が神奈川県藤沢市内に住む会社員の長男と思い込む。長男からの電話は約1カ月ぶりだった。電話が鳴った際、男性は那珂川署が配布していた、町内での振り込め詐欺事件発生を知らせる広報紙を偶然、読んでいた》
 ◇株でやられた、200万円振り込んで
 ◆2回目 同日午後1時ごろ(再び家の電話が鳴る)
男 オレだけど、金が必要なんだ
——いくらくらいだ?
男 200万円だ。株でやられた。すぐに振り込まなくちゃやばい
——振り込むから、口座番号を教えてくれ
 《男は、番号をなかなか言わない。どこか困った様子》
男 調べてくるから
——……
 《男性はこの時点で振り込め詐欺だと気付いた。「きちょうめんで堅い長男が株に手を出すはずがない」と確信する》
 ◇名義違う口座番号、出先なんだ……
 ◆3回目 2、3分後(再度、電話)
男 口座番号は「埼玉りそな銀行鳩ケ谷支店の4047×××」。名義は「ハセガワ カツト」
——今どこにいるんだ?
男 出先なんだ
——なぜ××(長男の名前)の口座じゃないんだ?
男 出先なんだ。振込用紙にはさっき言った携帯番号も書いてくれ。もう少ししたらまたかける
 《男性はすぐに鳩ケ谷支店の番号を調べ、銀行に口座確認しようと2度電話するが、応答がなかった。このため、長男に確認の電話を入れる》
——あんたから今、金を振り込めって言われたけど、本当か?
長男 オレは金なんかいんねーよ。それは振り込め詐欺だから振り込んじゃだめだ
 ◆4回目 数分後(再び電話が鳴る)
男 急いで振り込んでくれ
——銀行までここから20、30分かかる
男 とにかく急いでくれ
 《男性はもう付き合いきれないと思い、突き放した》
——うちのせがれはそれくらいの金はあっぺ。ウソつくんじゃねーぞ、このばか
 《電話が切れる。夜、警察に連絡し、事情を説明した》
 男性は、普段仕事で乗るトラックのラジオから流れる振り込め詐欺のニュースを聞き、「いつかうちにも電話があるかもしれない」と警戒していた。
 早くも2回目の電話では「息子は株に手を出す性格ではない」と考え直し、振り込め詐欺と気付いた。
 また、平日の午前中から、長男が自宅に電話を掛けてくるのは不自然だと感じていた。電話の向こうは「ざわざわしている感じ」だったという。男性は来月開かれる地域の集まりで、自分の体験を話し、振り込め詐欺に対する注意を呼び掛けようと考えている。
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 ◇被害額3億4000万円−−今年1〜8月まで
 県内の振り込め詐欺事件をめぐっては、今年1〜8月の被害額が約3億4000万円に上り、既に昨年1年間の被害総額約3億円を超えた。

9月17日朝刊
(毎日新聞) - 9月17日12時2分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060917-00000127-mailo-l09