2006年09月17日(日) 15時01分

０６総裁選：山口と安倍晋三　安倍晋太郎／５　／山口（毎日新聞）

　◇竹下氏に「お前先にやれ」−−首相の座譲り運命変わる
　今年１月１７日昼、吹田アキラ元自治相（７９）は安倍晋三官房長官を東京の事務所に訪ね、こう総裁選への出馬を促した。「親子２代で首相の座を他の政治家に譲ってはいけない。長州人らしく前に出ろ」
　旧城南村（田布施町）出身の吹田氏は、１９５２年、２５歳で村長に当選。安倍氏の祖父岸信介元首相派を担い、町長、県議、県会議長を務め、７９年に衆院選旧山口２区で、岸氏の地盤を受け継ぎ初当選した。
　続けて吹田氏は安倍氏に父晋太郎氏にまつわるエピソードを語った。
　８７年、中曽根康弘首相の後継者に、晋太郎、竹下登、宮沢喜一の３氏が名乗りを挙げた。晋太郎氏と竹下氏は１０時間近く話し合ったが調整は難航。最終的に中曽根氏が竹下氏を指名する「中曽根裁定」の後、安倍、宮沢の２氏が総裁選への立候補を取り下げた。
　吹田氏は竹下氏と、政治家になる前から地元・島根、山口各県の青年団活動を通じた旧知の仲。竹下氏から酒を飲みながらこんな話を聞かされたことがある。
　「実は安倍さんが俺に『お前先にやれ』と譲ってくれたんだ。安倍さんが先にやれば総理になって死ねたし、その後で自分がやれば（リクルート事件で辞めることもなく）もっと長く政権に就けたはず。逆がよかった」

９月１７日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060917-00000238-mailo-l35