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2006年09月16日(土) 00時00分

【関連】松本サリン被害河野義行さん手記 唯一の『功』は、被害者支援の立法に道開いたこと  東京新聞

 一九九四年に起きた松本サリン事件で被害に遭い、当初容疑者扱いされた河野義行さん(56)=長野県松本市=が十五日、この十二年余を振り返る手記を本紙に寄せた。

 麻原被告の死刑が確定したが、私には何の感慨もわかない。私にとって、今回の最高裁決定も事件の通過点にしかすぎない。私にはまだ事件は終わっていない…。だが、不満は残る。

 十年間を超えた裁判は被害者にとっては長い年月であったが、否認事件で、犠牲者二十七人の殺人容疑を含む裁判では、異例の短期間の決定だと思う。控訴審では審理すらされず、被告の謀議や訴訟能力の有無などがどのように立証されたのか、不安を感じる。また、世間では裁判手続きを軽視する傾向もあり、何が何でも死刑になればよいというのであれば、社会はこの事件から何も学ぶことができなくなってしまう。

 私はこれまで、麻原被告に対して憎しみの感情はわかなかった。メディアや社会から「麻原が憎くないのか」と言われ続けたが、私の思いは変わることはなかった。私には、恨みや憎しみの感情によって不幸の上に不幸を重ねたくない、という思いがあるからだ。

 だが、犯罪被害者の立場にあっては、国の支援対策の貧困さに困惑と憤りを覚えた。微力な被害者の存在への支援をマスコミや講演活動を通して訴え続けてきた。

 被害者支援の施策は格段に改善されたが、先進国に比べて三十年遅れているとさえ言われている。二〇〇四年十二月に犯罪被害者等基本法が成立し、国や地方自治体、国民までが被害回復の責務を負った。さらに、犯罪被害者等基本計画により支援は実態に即したものになるであろう。サリン事件の功罪を問うならば、犯罪被害者の実態を世間にさらし、被害者支援の立法化に道を開いたことが、唯一の「功」の部分だと思う。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060916/mng_____sya_____012.shtml