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2006年09月16日(土) 08時32分

貸金業規制、自民が決着 与党内に温度差 法案成立なお“灰色”フジサンケイ ビジネスアイ

 自民党内で対立が続いた貸金業規制法改正の議論がようやく決着した。最後まで少額・短期の貸し出しに限って高い金利を認める「特例措置」をめぐって混迷を続けたが、当初示された金融庁案からもう一段の金利引き下げと、期間の短縮という着地点を見いだし幕引きを図った。改正法案提出断念という失態を何とか回避したかたちだ。

 結果的に特例は導入する方針でまとまったが、依然、同じ与党の公明党内では特例不要論が多い。自民党の若手議員などを中心とした特例反対派も釈然としない思いが残っており、一枚岩とはいえない状況だ。当然、改正法案が国会に提出されたとしても自民党の切り崩しを狙う民主党が格好の材料として徹底追及するのは必至。自民党としても社会問題化している多重者債務問題の解消に向けた流れに水を差すわけにもいかず、世論に配慮すれば法案成立にはなお不透明感が残る。

 もっとも消費者金融業界は特例の有無を問題にしているわけではない。というのも、金融庁の当初の試算では特例を利用する人は消費者金融利用者約2000万人のうち約80万人、わずか4%に過ぎない。「そもそもこんな特例を誰が使うのか」(消費者金融関係者)との声も漏れる。

 むしろ、出資法の上限金利(年29・2%)を利息制限法(年15〜20%)水準に金利を引き下げることが決まり、いわゆる2つの金利に挟まれたグレーゾーン(灰色)金利が撤廃されることの方が影響は大きい。これまでのように利ざやが稼げなくなるためだ。

 消費者金融業界にとっては経営環境悪化要因はそれだけではない。全国で払い過ぎの分の返還を求める訴訟が増えているからだ。日本公認会計士協会は9月中間決算でも返還額を計上し損失処理するよう迫っている。足元だけでなく、先行きも視界不良という”二重苦”で、今後経営を断念する事業者が出てくる公算は極めて大きい。

 灰色金利の撤廃で、消費者金融という貸し手を失った利用者はヤミ金に流れる懸念も指摘されている。

 こうした事態は社会不安を助長しかねないだけに、今後はこうした利用者に対する駆け込み寺的なセーフティーネット(安全網)の議論が活発するとみられる。自民党内で税金を使った受け皿機関の構想も見え隠れしており、今後、大議論を呼ぶのは間違いなさそうだ。(佐藤克史)
(フジサンケイ ビジネスアイ) - 9月16日8時32分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060916-00000006-fsi-bus_all