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2006年09月16日(土) 00時00分

「怒り変わらぬ」/松本サリン事件朝日新聞

オウム元代表死刑判決確定 亡き息子に報告 

 裁判を続けても真相や謝罪を述べるとは思えない。そんな男に息子が殺されたのかと思うと余計に怒りを感じる」——オウム真理教元代表・松本智津夫(麻原彰晃)被告(51)の死刑が15日確定した。県内に住む「松本サリン事件」犠牲者の遺族らは、やっと訪れた裁判の決着にほっとしながらも、笑顔は見られなかった。

 掛川市水垂の無職小林巌さん(70)と妻房枝さん(64)は、94年の松本サリン事件で次男豊さん(当時23、会社員)を奪われた。今年が13回忌だった。房枝さんは6月になると、豊さんの死亡を告げる電話が鳴った午前4時20分ごろ、なぜか目が覚めるという。豊さんが眠る市内の墓地にも毎週出かけている。

 松本被告の死刑確定はマスコミからの電話で知った。2人はさっそく豊さんの遺影を飾った仏壇に「死刑確定」を報告した。巌さんは「麻原への怒りは少しも変わらない。死刑は当然」と話し、房枝さんは「死刑になっても豊は帰ってきませんが、麻原や弁護団に振り回され続けて12年もたっただけに、やれやれ、やっとという思い。良かったと言う気にはならない」。16日に墓参りに行き「死刑が決まったよ」と報告するという。

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●富士宮の住民 

 一方、かつて富士山総本部があった富士宮市人穴地区で区長を務めた熊谷幸一さん(81)は「逮捕されて11年余、さまざまな苦い記憶が消えたわけではない。死刑判決確定は正当な裁きだと思う」と話す。

 90年ごろ、自宅近くにあっという間に、高い建物と約3メートルの鉄板の壁が作られた。騒音に近い祈りの声。強いあかりが夜通しともり不夜城のよう、黒煙と悪臭が漂った。テレビで被告たちの判決などが報じられるたびに「それらの光景が幻想となって現れた。強烈な思い出で、一生忘れられない」と語る。

 その上で「一貫して責任に触れず、自分本位の考え方しかしゃべらず、とぼけたような態度を続けた被告と、彼に合わせた弁護団の公判の進め方には疑問を感じる。なぜ今日まで長い年月が経過したのか、遺族のことを考えると割り切れない」と話した。

 総本部跡には日本盲導犬協会が運営する全国盲導犬育成訓練センターが建設中で、10月には落成式がある。熊谷さんは「地域として充実した内容の施設が生まれ、歓迎したい」と喜んでいる。

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●富士宮市長 

 富士宮市の小室直義市長は「死刑判決確定で一応の決着を見たが、富士山総本部のあった人穴地区の方々のご心労、サリン事件被害者が今なお苦しんでいることを考えると、複雑な思いがする。二度とこのようなことが起こらないことを祈っています」との談話を発表した。

http://mytown.asahi.com/shizuoka/news.php?k_id=23000000609160002