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2006年09月16日(土) 15時23分

ブログで「取材源の秘匿」認めるか 米国で議論産経新聞

 【ロサンゼルス=松尾理也】ブログ(日記風ホームページ)を主な舞台として活動している米国のジャーナリストが、警察とデモ隊との衝突に発展した政治抗議活動に関する取材記録の当局への提出を拒んだとして収監された。「取材源の秘匿」の是非をめぐる問題がインターネットにも波及したケースとして議論を呼んでいる。

 収監されたのはフリー・ジャーナリスト、ジョシュ・ウォルフ氏(24)。同氏は、英国で先進国首脳会議(サミット)が開催されていた昨年7月、米サンフランシスコで起きた、反資本主義団体らによるデモが警察当局との衝突に発展したもようをビデオに撮影し、インターネット上で公開した。

 検察当局は、この衝突に関する捜査の一環として編集前のビデオの提出を求め、連邦大陪審から召喚状が出された。同氏は、ジャーナリストには取材源の秘匿が認められるべきだと主張し拒否。このため、同氏は今月1日に保釈されるまで約1カ月間、カリフォルニア州内の刑務所に収監された。

 米国では昨年、米中央情報局(CIA)工作員名漏洩(ろうえい)事件を機に、ジャーナリストに「取材源の秘匿」がどこまで認められるのかについての議論が高まった。この事件では、ニューヨーク・タイムズ紙のジュディス・ミラー元記者が取材源についての証言を拒絶し、法廷侮辱罪で85日間収監された。

 今回の事件は、同様の動きがインターネットの世界に及んだものと受け止められている。実際、ミラー元記者はウォルフ氏に共感を寄せ、収監された刑務所の前で同氏を支持するコメントを発表するなどしている。

 ただし、CIA工作員名漏洩という国家機密にからんだ事件と違って、ウォルフ氏の取材はデモ隊と警察の衝突現場である。取材内容の重要性と、開示を求められている情報の重みに差があるとみられるが、同氏はオンラインニュースCNETのインタビューに、「私の取材源はミラー氏の取材源とはタイプが違うが、それでも取材源の保護は必要」と述べている。

 インターネットにおける倫理の問題に詳しいプレム・ディバンブ・カリフォルニア大デービス校教授は産経新聞に対し、「ジャーナリストに取材源の秘匿の権利は認められるべきだが、多くのブロガー(ブログを発信する人)はプロではない。最終的には公共性の観点から個別に判断するしかないだろう」とコメントしている。

【2006/09/16 大阪夕刊から】

(09/16 15:23)

http://www.sankei.co.jp/news/060916/kok009.htm