2006年09月16日(土) 00時00分

ハムスター抱え、母が泣いた（朝日新聞）

　小学生の頃、夏休み明けに友達から、ハムスターの子供がたくさん生まれて困っている、良かったら家で飼ってくれないか、と言われた。動物好きな僕は二つ返事でＯＫしたかったが、まずはお母さんに相談。「自分が本当に責任持って育てるなら構わないよ」。早速、１匹のハムスターをもらうことにした。

　一人で責任もって飼うというのは想像以上に大変だった。毎日の餌はもちろん、住みかの底にしく新聞紙の交換……。数カ月たち、少しずつ無意識に掃除の回数が減り、ハムスターを眺める時間も減ってきた。ある日僕が家に帰ると、怒り顔のお母さんが玄関で待っていた。

　「ちょっと来なさい！」とハムスターのいる部屋へ連行。お母さんが指さすゲージの中をみると、ぐったりとした小さなハムスターが……。前脚は餌のケースにかかり、餌ケースは空。やってしまった……。何てことだ……。

　たまに餌を忘れる日があっても、その度、お母さんが気付き餌をあげていた。だがその時は、お母さんも僕があげてるものだと思っていたらしい。怒られた。空気が重い。何より驚いたのは、今まで僕の前で泣いたことのないお母さんがハムスターを抱えて泣いている。その時僕は超最悪、とんでもないことをしてしまったことに気付いた。そしてこのとき改めて命の尊さを学んだのでした。
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