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2006年09月16日(土) 00時00分

「法の支配」を超えた事件というものは、やはり法の手続きを超… 東京新聞


 「法の支配」を超えた事件というものは、やはり法の手続きを超えてしまうのか。一審東京地裁の死刑判決から二年半、オウム真理教元教祖・麻原彰晃被告(51)について、最高裁は弁護団の特別抗告を棄却、一審だけで被告の死刑が確定した▼地下鉄サリン事件などで日本中を震撼(しんかん)させたカルト教団の教義も事件の全貌(ぜんぼう)も、ついに教祖自身の口から語られることはなかった▼作家辺見庸さんは『不安の世紀から』(角川文庫)で、吉本隆明さんの「オウムは悪において、理念において、信仰において、既成のあらゆる宗教、既成の左翼を皆、超えてしまった」との見方と「せめて麻原被告が自分の世界観を存分に述べることが事件を論じ、批判できる環境をつくる」との期待を紹介しつつ、被告はおそらく「想像を超える浅さ」によって語ることはないだろうと予測していた▼思えば地下鉄サリン事件のあった一九九五年は、その直前に起きた阪神大震災とともに、この国を不安の世紀末から規範崩壊の新世紀へといざなう大きな転換点だった。神戸の連続児童殺傷事件はその二年後だ▼辺見さんは麻原教祖を、グリム童話に出てくるハーメルンの笛吹き男になぞらえる。理由を語らず子どもたちを連れ去った怨(うら)み深い謎の男として▼裁判の初期に麻原被告は事件を弟子のせいにした。「教団の意思決定のありようは、主体のない空気にみなが乗る、凝縮され、極端化した“小さな日本”だった」とする弁護団の見方もあった。とすれば、こうした裁判の終わらせ方はまことに残念である。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20060916/col_____hissen__000.shtml