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2006年09月16日(土) 00時00分

【中信】 松本サリン健康被害 実態把握に苦慮、昨年度受診者は1人 東京新聞

 市や市医師会、信大病院などでつくる松本市地域包括医療協議会は事件以降、サリン事件で健康被害を受けた住民の健康診断を続けてきた。しかし、昨年度は受診したのは1人だけ。事件後12年がたち、市外に転居した被災者も多く、実態を把握しきれてはいないという。

 事件発生から10年目の2003年。健康被害を受けた現場周辺の住民ら1813人にアンケートを実施した。その結果、サリンによる異常があると診断された人の多くが体のだるさや目の疲労などの自覚症状を訴えた。一方で、希望者29人に行われた健康診断からは、縮瞳などサリン中毒に特有の症状はほとんどみられず、軽症者の中毒症状は回復していることが分かった。

 中毒症状の回復傾向は事故後5年目くらいから表れた。同時に、心的外傷後ストレス障害(PTSD)とみられる症状が顕著になり、精神的なサポートの必要性が診察にあたった医師や被災者などから挙げられた。

 前述のアンケートでは、取り組みを感謝する声とともに「忘れたい」「ほっといてほしい」などの声もあった。

 同協議会では現在、相談窓口を市役所の健康づくり課におくほか、毎年度秋から冬にかけて内科医や眼科医、精神科医による健康診断を実施している。今後も事件を風化させないためにも健康診断を実施していくというが、必要とする人に十分なサポートを提供するのは難しく対応に苦慮しているのが実情だ。

 (福岡範行)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/ngn/20060916/lcl_____ngn_____005.shtml