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2006年09月16日(土) 00時00分

【中信】 「当然」「長かった」 遺族ら思い複雑 麻原被告の死刑確定 事件発生翌朝の松本サリン事件現場。手前がサリンをまかれた駐車場と河野さん方=94年6月28日、松本市北深志で本社ヘリ「わかづる」から 東京新聞

 松本サリン事件から12年。7人の尊い命を奪った首謀者麻原彰晃=本名松本智津夫=被告(51)の死刑確定を、周辺住民や遺族らは「当然」と受け止めた。しかし、被災者の心の傷がこれで解けたわけではない。裁判を通じて麻原被告の口から事件の全容は語られておらず、関係者は一様に複雑な思いをのぞかせた。

■サリン現場周辺 

 松本市北深志の閑静な住宅地。悪夢の日から、ようやく下った死刑の審判に周辺住民の反応はさまざま。酒店主の男性(62)は「現場は悲惨で精神的におかしくなりそうだった」と振り返り「死刑は当然だが、何も語らずにあの世へ行くのは気に食わない」。現場近くを通勤している女性(60)は「多くの人を苦しめた。もっと早く決まってもよかった」。同市旭1の女性(80)は「被害には遭わなかったが、現場近くを通ると当時の混乱を思い出す」と話した。

■遺族

 最愛のわが子を失った2人の母親。信州大経済学部2年だった息子=当時(20)=を失った阿部満智子さん(59)=千葉県習志野市=は「(裁判は)長かった……。麻原は何も述べていない。どうしてこうなったのか分からない。(被告は)黙秘権を使えたが、亡くなったものには人権がないんだなとつくづく思った」とつぶやいた。「9月3日に義母が亡くなった。(死刑確定を)知らせてあげられなかったのが残念」

 「死刑は当然です。1日も早く執行してほしい」と伊藤洋子さん(66)=千葉県南房総市。単身赴任の息子=当時(27)=を奪われた。「息子はなんで殺されなければならなかったのか、分からないままこの日を迎え、複雑な気持ち。一区切りとはいっても、私たちはずっと悲しみを持ち続けていかなければならない」と話した。

■坂本弁護士の長男遺体発見現場

 坂本堤弁護士の長男龍彦ちゃん=当時(1つ)=の遺体が発見された大町市の日向山。当時、土地所有の関電産業大町営業所長として遺体捜索に立ち会った岩見孝之さん(74)=同市神栄町=は「死刑確定は当然の結果。しかし、事件の動機や背景がわからないままの終結で、その点では不満だ。本人が死刑の重みをわかっているのか疑問。ご遺族や後遺症などに悩む人たちにとっても、釈然としないのではないか」と話した。

◇村井知事「まれにみる凶悪」

 村井仁知事は15日の会見で、麻原彰晃被告の死刑確定について「松本サリン事件や地下鉄サリン事件は、まれにみる凶悪事件だった。死刑は当然のことと思っている」と感想を述べた。

 国家公安委員長を務めたこともある村井知事は死刑制度にも言及。「犯罪に対し、抑止力を持っていると認めざるを得ない」との考えを示した。

◇松本市長「事件風化させぬ」

 松本市の菅谷昭市長は、次のようなコメントを発表した。「過去に例のない悲惨な事件の発生以来、12年余が過ぎ、事件に関係された皆さまは長引く首謀者の裁判に、やりきれなさを感じられていたことと思います。何の罪もない多くの市民が被害に遭い、今なお後遺症に苦しんでおられることを考えると、あらためて怒りを覚えます。亡くなられた方のご冥福と、後遺症からの1日も早い回復を祈ります。松本市としては、いつまでもこの事件を風化させることのないよう、危機管理を最重要施策として取り組んでいきたい」


http://www.tokyo-np.co.jp/00/ngn/20060916/lcl_____ngn_____000.shtml