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2006年09月15日(金) 00時00分

「賃金業規制法改正案」を聞く朝日新聞

◆おかしい少額・短期特例◆

 上限金利の引き下げを盛り込んだ貸金業規制法の改正案が今月初め、金融庁から自民党に示された。28%の金利を最長5年の特例で認めるなど金融業者寄りとも言える内容に、後藤田正純・内閣府金融担当政務官が抗議の意思を示して辞任するなど、見直し案を巡っては党内でも意見が分かれ、秋の臨時国会提出に向けてぎりぎりの調整が続く。払いすぎた金利の返還訴訟に取り組む浜田ひまわり基金法律事務所(浜田市)の田上尚志弁護士に改正案について聞いた。(西江拓矢)

◇過払い金利返還に取り組む◇田上尚志弁護士

 ∞現状維持としか思えぬ∞

 ●金融庁の改正案の内容をどうみるか

 上限金利を下げたと言っているが、特例などをつけて、現状を維持しようとしているとしか思えない。

 案では利息制限法の上限金利が10万〜50万円の貸し付けで現状の18%から20%に上げられる。消費者金融では50万円以下の貸し付けが多く、金利引き上げが前提になっているのはナンセンスだ。

 少額・短期の特例(金利年28%)は返済1年以内で50万円、半年以内で30万円とされている。50万円では年約15万円の金利が発生する。これは少額と言えるのか。それすら返せないのが現状だ。また、半年、1年と期間を限定しても借り換えを繰り返すことで意味がなくなる。

 ●多重債務の問題は解決するか

 適正な金利に下げても、少しは多重債務者が残るだろう。ただ、高金利で貸している業者がいなくなれば、解決できる人は多い。70点、80点でもいいから、今より良くなるようにすべきだ。解決できない部分は福祉の充実など、別の方策を考えればいい。根が深い問題は二の手、三の手を考えるのが当然。引き下げでは解決しないといって、下げないという理屈はおかしい。

 ●金利引き下げは田舎の利益に

 19日と20日に多重債務者の救済と上限金利の例外なき引き下げを訴えて、県内の各市役所などを回り、可能ならビラも配る。多重債務者は税金を滞納しているケースが多く、訴訟で過払い分を取り戻して、税金を払ったケースがいくつもある。

 多重債務は、本人や家族が解決すればいいと思うのは間違い。税金、国保、年金など、払わない人がいれば、制度の崩壊やサービス低下を招き、結局は多重債務者以外も害を被る。自分たちも被害者との意識を持たなければならない。

 私の事務所で、多重債務者の依頼を受け、上限金利を超えて消費者金融業者などに払いすぎた分を取り返した金額は、昨年6月から今年9月1日までに3億3千万円を超えた。消費者金融大手の本店がある都会は別として、金利を引き下げた分は、地域の利益になる。だから、田舎の人ほど声をあげなくてはいけない。

 活動している益田、浜田、江津では、行政が非常に熱心に活動している。市役所に相談に行って私のことを聞き、調べたら、過払いがわかったということがあった。そういうシステムをつくっていかなければならない。

 貸金業規制法の改正案 金融庁案では、出資法の上限金利(年29・2%)を利息制限法の上限(年15〜20%)に一本化し、グレーゾーン金利を撤廃する。金利の引き下げは、法律の施行から3年後、その後少額・短期の貸し付けについては、最長5年の特例(年28%)を認める。成立から施行まで1年ほどを要するため、最長で9年ほど現状の上限金利が残る。金融庁は臨時国会に改正案を提出する予定。

http://mytown.asahi.com/shimane/news.php?k_id=33000000609150001