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2006年09月15日(金) 11時32分

RMT のどこがいけない?(1/2)japan.internet.com

近年世間を賑わしている RMT (Real Money Trade)。関連した事件などが、新聞、テレビなどの大衆メディアにまで露出し、その認知度は、非常に高まってきている。まず、最初に述べておきたい。一部報道では、「RMT は悪である」という表現がされているが、それ自体は違法性があるわけでもなく、北米や韓国では以前よりゲーム運営会社が合法的に行っているサービスである。日本でも、先月から RMT に近いサービスを開始した運営会社がある。はたして RMT とは何であり、それを行うことによってどのような問題を引き起こしているのか。具体的な事例を元に述べていきたい。

まず、RMT とは何であるか?一言でいえば「オンラインゲーム内の仮想通貨や武器・防具などのアイテムと、現実社会の通貨との交換(売買)を行うこと」である。オンラインゲームをプレイしたことのない人にとっては、まったくイメージが沸かないのではないだろうか。数百人から数千人が同時にプレイできる MMORPG(Massively Multiplayer Online Role Playing Game)では、オフライン RPG(オンライン対応でない RPG)同様に、プレイするために必要な体力を回復させるクスリや、モンスターを倒すために必要な武器や防具が数多く存在している。それらのアイテムを取引するためにゲームマネー(仮想通貨)が用いられる。オフライン RPG 同様に、コンピュータ相手に取引を行うこともあれば、オンラインゲームの醍醐味でもある、ユーザー同士の取引を行うこともできる。お金を持っている人がプレイを有利に進められるのは RPG なら当然であるが、オンラインゲームに限っては、運営側がユーザーに対して長くプレイしてもらうために、お金やアイテムを非常に稼ぎ辛いように設定されている。そのためユーザーは、金策に翻弄されることがしばしばある。

筆者も、高価な武器を購入するために、数か月ゲームマネーを貯めて、ようやく購入できたという苦い経験もある。RMT 利用ユーザーのほとんどは、ゲームを快適にプレイするために、現実社会の通貨とゲームマネーを交換している。RMT を行うことで、数ヶ月間も苦労することがなくなるのである。

それでは、具体的に RMT のどこが問題であるかについて述べていきたい。先ほども述べたように RMT 自体は違法なものではない。しかしゲームマネーが現実社会の通貨に換えられるという事実が様々な問題を引き起こしている。ゲーム運営会社が容認していないサービスを第三者(RMT 提供者)が行っており、人様の庭で勝手に商売をやっている状態であることや、ゲームバランスが崩れる可能性があることなどが、よく問題点として挙げられている。しかし、筆者が考える RMT の問題点は、以下の3点に集約される。

1.規約違反
全てのオンラインゲームをプレイするにあたって、利用規約がありその規約に同意しなければプレイすることができない。殆どのタイトルでは仮想通貨を現実通貨と交換することを禁止している。ゲーム内において利用規約は法であり、RMT はその法を犯している行為であると考えられる。

2.不正アクセス禁止法への抵触
ゲームソフト事態を不正に改ざんしたり、不正ツールを使うなどして、仮想通貨を通常のプレイではあり得ないほど、大量に得る人がいる。当然ながら、仮想通貨を多く得ることは、現実通貨も多く得られることになる。このような行為は、「不正アクセス禁止法」に触れるものであり、明らかに違法である。

3.日本円の流出
筆者が考える最大の RMT の問題点は、日本円が不正に海外流出することである。RMT で消費された日本円は、関税が課せられない現状である。そのため、海外マフィアの資金源や、時にはマネーロンダリングの役割を果たしている可能性も考えられる。RMT の市場規模は、およそ140億円(推定)といわれる。RMT 業界に詳しい人の話によると、日本で売買されているゲームマネーやアイテムの約9割は海外から得ているという。それが事実であるならば、年間数十億円もの関税を通らない日本円の流出があると考えられる。

RMT の問題も含めオンラインゲームに関する国民生活センターへの苦情は、2005年度より 急激 に増えている。これらの問題解決に対して、現状では各運営会社に委ねられている。今後はオンラインゲーム業界全体の問題として、法律の整備、ガイドライン制定等、取り組んでもらいたいものである。

余談ではあるが、RMT の利用者は、一般的に「時間がない社会人が多い」と思われているが、これは誤りであることが、以前行われたユーザー調査で判明した。ゲームマネー購入ユーザーと一般ゲームユーザーと余暇時間で比較したところ、ゲームマネー購入ユーザーの方が一般ユーザーよりも余暇時間が多いことが判明した。しかしながらゲームマネー購入者は、一般ユーザーよりもその余暇時間に対してゲームのプレイ占有率が高く、物理的な時間よりも感覚的な時間がないということになる。言い換えれば、ゲームマネー購入ユーザーは「時間がない」のではなく「ゲームに費やす時間の割合が多く、熱中度が高い、社会人ユーザーが多い」ということになる。

次回は、過去に行われた調査をもとに、実際のデータを示していきながら、ユーザー視点でみた、RMT の認識について述べていきたい。



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(japan.internet.com) - 9月15日11時32分更新

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