悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年09月13日(水) 00時00分

アイデアと実行力 パソコンソフトのハードル低く読売新聞

メーカー論理を外した更新料無料

松田 憲幸  まつだ・のりゆき
ソースネクスト社長
 1965年、兵庫県出身。大阪府立大工学部卒。89年日本IBMに入社し、93年に独立。システム・コンサルタントを経て、96年に「ソース」を起業。99年、現在の「ソースネクスト」に社名を変更した。
—— これまでも思い切った低価格路線が注目されましたが、新たに投入した3970円で更新料無料の「ウイルスセキュリティZERO」が話題になっています。

松田 この製品もメーカーとしての論理を外したところから、出てきました。更新料が0円だったら、ユーザーはうれしいだろう。4980円だと少し高い。3970円ならいい、と。

 無期限版が採算にのるかどうか。狙いは社員には言わず、サポートや更新のコストなど様々な要素を調査しろというメールを40本くらい送って、結論を得ました。

 パソコンソフトに限れば まだまだ面白いことができます。もっとも、最後はウィンドウズという壁もあるのですが……。

—— 「イチキュッパ=1980円=」の低価格、コンビニに並べやすいスリムなパッケージ、自動インストール機能など、ソースネクストの製品はパソコンソフトのハードルを一気に低くしました。

松田 アメリカで最初に見たソフトと違って 日本にはわかりにくい製品しかない、と思ったのがきっかけです。値段が高くて、パッケージの説明も英語、ひどいのはガラスケースに入っていた。普通の人が気軽に手にするようなモノではありませんでした。マニアやプロ向けではなく、パソコンを買ったついでに買うような商品にしようと考えました。

ライバルはCDやDVD
—— 2003年に発売した「ウイルスセキュリティ」の「1980円」で低価格戦略が定着しました。あの衝撃価格はどのようにして決まったのですか。

松田 あのときは、役員6人が私の自宅に集まって飲んでいたんです。

 まず「1980円でウィルス対策ソフトを売ったらどうですか」というアイデアが出て、「それはいい。そもそも対策ソフトなんか買いたくないのだから」と言って、決まりました。

 メーカーとしての発想をやめると、結構、面白いことができますよ。我々はパソコンソフトの枠内だけで考えているわけではありません。1980円あればCDやDVDも買えます。CDはパッケージもきれいだし、インストールなんか必要ないですよね。つまり、それより魅力がないといけないのです。

—— 優れたビジネスマンのセンスを感じます。統合オフィスソフト「StarSuite(スタースイート)」の販売交渉をサン・マイクロシステムズ社と行ったときは、鋭く切り込んだそうですね。

松田 3年前です。来日したスコット・マクネリー社長(当時)に、ホテルのパーティーで会いました。

 「StarSuiteを爆発的に売る方法があります」と切り出したら、社長が興味を示したので、「1980円で売りましょう」と提案しました。

 当時の価格は9800円。社長は興奮して、会話が止まらなくなりました。秘書があわてて止めに入ったので、後ろを振り返ると、50人以上が並んでいました。

 これは、時間をとりすぎている。名刺交換の場で、何をビジネスの話をしているんだ、と思われたでしょうね。でも、契約は簡単にまとまり、CMには藤原紀香さんを起用しました。

—— 日本IBMを4年目で辞めたとき、現在のような仕事をするのだという明確なビジョンを描いていましたか。

松田 そういうものは全然ありませんでした。ソフトに絞ったのは、システム・エンジニアをしていて、得意で好きな分野だったからです。好きにかなうものはありませんから。

 95年には、マイクロソフト本社にも行ってみました。これがマイクロソフトか、産業のナンバーワンが世界のトップ企業とは、無限の可能性と広がりがあるなぁと思いました。ソフト産業は工場も設備もいりません。一発逆転が可能な分野なんです。

http://www.yomiuri.co.jp/net/interview/20060913nt07.htm