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2006年09月12日(火) 19時39分

大型事件、裁判員を分割 法務省・最高裁が時短へ合意朝日新聞

 連続殺人事件など、審理対象が膨大な刑事裁判を、一般の市民が仕事や家事を休んで参加する裁判員制度のもとでどう進めていくのかについて具体案が固まった。法務省は最高裁と大筋で合意し、来年の法整備を目指す。裁判員があまり長く拘束されないよう、審理対象の事件ごとにグループ分けし、それぞれで有罪か無罪かを判断。有罪なら、最後のグループが全体の量刑も決める仕組みだ。ただ、各グループの裁判官は共通になる見通しで、入れ替わる裁判員との情報格差が生じないかなどについて、日弁連は懸念を示している。

3件の連続殺人事件を審理する場合の例

 最高裁の想定では、事前に「公判前整理手続き」を実施しておくことで、裁判員が参加する裁判の約7割は3日以内に審理が終わる。2割が4〜5日かかり、残る1割が5日を超える。

 ただ、88〜89年に首都圏で起きた連続幼女誘拐殺害事件のような、複数の罪を次々に犯したとされる事件では、審理の対象が多く、裁判が長びくのは必至。従来なら一審判決までに何年もかかることが多く、公判前整理手続きで審理の短縮を図っても、全体では数十日かかる例も想定される。

 社会の関心の高い大型裁判が長引けば、裁判員制度をふつうの人々が敬遠し、制度の根幹を揺るがしかねない。こうした裁判をどう審理するかが懸案だった。

 今回の具体案は、例えば1人の被告が3件の事件を起こした場合、三つを一つの裁判としていったん併合した上で、審理を事件ごとに3グループに分離。第1、第2グループはそれぞれ、有罪か無罪かだけを決める。第3グループは自ら有罪無罪の判断をするとともに、第1、第2グループの事実認定と総合的に判断して量刑を決める——という枠組みだ。

 ただし、裁判所の判断で分離しないことも可能だ。分離するかしないかの決定には、検察側や弁護側は異議を申し立てられるようにする。

 例えば検察側にとっては、一つひとつの事件だけでは有罪を立証するのが難しいが、三つ合わせて証拠を積み重ね「合わせ技一本」の有罪立証をめざすこともある。そんな場合に裁判所が分離すれば、検察側は異議を申し立てることになる。

 情報の連続性を保つため、裁判官3人は「固定メンバー」としてすべてのグループに参加。各グループごとに裁判員6人は入れ替わる方向だ。日弁連には「情報格差が生まれ、裁判員と裁判官が対等なコミュニケーションを築くという理念にもとる」との懸念があり、近く見解をまとめる。

 法相は早ければ年内の法制審議会に制度設計を諮問。答申を得て法務省が来年の通常国会に関連法案を提出することを目指す。

http://www.asahi.com/national/update/0912/TKY200609120319.html