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2006年09月12日(火) 08時57分

読売新聞を閲覧制限 大阪・豊中の図書館産経新聞

 山口県周南市の徳山工業高専5年、中谷歩さん(20)殺害事件にからみ、大阪府豊中市の市立図書館が、殺人容疑で指名手配され7日に遺体で見つかった同級生の男子学生(19)の実名を掲載した読売新聞8日付朝刊と夕刊を一時、利用者に閲覧させないようにしていたことが11日、分かった。館長らが9日午後に緊急会議を開き、10日以降はこの措置を解除したという。図書館で新聞の閲覧が制限されたケースはこれまでにないとみられ、関係者からは「検閲になりかねない」と批判の声が上がっている。

 豊中市などによると、9つある市立図書館では、発行日の8日は通常通りに扱っていたが、9日になって実名と顔写真が掲載された8日付朝刊と、実名が何度も登場した8日夕刊を引き上げ、閲覧できないようにした。

 さらに、実名が1回だけ載った9日付朝刊は実名部分にシールを貼って閲覧できるようにし、「少年法の趣旨からただいま引き上げて、取り扱いについて検討している」とのお断りを張り出したという。

 市立図書館の総括責任者でもある市立岡町図書館の谷垣笑子館長は「8日の段階では各館長と連絡を取り合ったが、具体的な対応は協議しなかった。しかし、これまでは少年法に基づき、雑誌に少年の実名報道があった場合はすべて閲覧不可としてきた前例もあり、9日午後に緊急会議を開くことを決めた」と説明。

 このうえで、「とりあえずは協議が終わるまで閲覧させるべきではないと考え、9日朝に対応を各館長に指示した。会議では、9日付の新聞各紙がそれぞれの見解を掲載していたことや、容疑者が自殺したというこれまでにないケースであることから、10日以降は通常通りにすることを決定した」としている。

 男子学生をめぐっては、7日午後に死亡が確認されたことを受け、読売新聞が8日付朝刊に「少年の更生を図る見地で氏名などの記事掲載を禁じている少年法の規定の対象外となったと判断したことに加え、事件の凶悪さや19歳という年齢などを考慮した」とのおことわりとともに、実名と顔写真を掲載していた。

 日本図書館協会(東京)の「図書館の自由に関する宣言」には、「正当な理由がないかぎり、ある種の資料を特別扱いしたり、資料の内容に手を加えたり、書架から撤去したり、廃棄したりはしない」と明記。新聞の閲覧を制限した例は「これまでにない」という。

 松岡要事務局長は「プライバシーの保護は大切だが、少年法の解釈をもって閲覧を規制するという『司法的行為』を図書館が行うことはありえない。検閲にもなりかねない危険な行為。記事についての判断は国民や読者がすべきことであり、図書館はむしろ、知る自由を後押しすべきではないか」と話している。

【2006/09/12 東京朝刊から】

(09/12 08:57)

http://www.sankei.co.jp/news/060912/sha003.htm