2006年09月09日(土) 22時52分

「環境被害の国際フォーラム」 （朝日新聞）

　　「水俣病の原因となった水銀が垂れ流されている」「公害の原因は規制の弱い場所へ移動し、存在し続けている」。熊本市で８日に始まった「環境被害に関する国際フォーラム」で、海外の研究者や被害者が現地の被害実態を報告した。水俣病の公式確認から５０年。海外でも今なお繰り返される環境被害に、会場からは驚きの声も漏れ、質問が相次いだ。

　　韓国のキム・へジョンさんは、同国南部に国策で造られた工業団地が原因で大気や土壌汚染などが進み、「温山病」と言われる公害病が発生したことを報告。公害を起こす工場の設備が米国から日本、韓国、中国と移された例を挙げ、「『公害工場』は規制の弱い国に移動する。公害に国境は関係ない」と語った。

　　また、フィリピンから参加した男性は、企業が住民の反対を無視して露天採鉱を続け、水銀などを川や海にたれ流す一方で、貧しい人々は生活のため、危険性を知りながら川で魚を取っている、と実情を伝えた。そのうえで「ライフスタイルを見直す時だ。人々の生活を脅かすことはやめるべきだ」と訴えた。

　　このほか、工場で働くうちに呼吸困難などの症状が出るようになり、職業病と環境問題に取り組むネットワークを立ち上げたタイの女性や、南アフリカでリサイクルや環境教育などの活動に取り組むグループの男性らの報告があった。

http://mytown.asahi.com/kumamoto/news.php?k_id=44000000609090003