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2006年09月09日(土) 22時49分

「生協の白石さん」並み人気上昇中朝日新聞

 学生が要望や苦情を書く「ひとことカード」への回答がホームページに紹介され、話題を呼んだのは東京農工大学の「生協の白石さん」。ここ群馬にも、もう1人の白石さんがいる。高崎経済大学(高崎市)の生協食堂部店長、黒沢健治さん(60)。白石さんに負けない温かく機知に富んだ回答が学生に人気で、出版の話も進んでいる。 (高重治香)

 生協食堂のショーケースには、「ひとことカードで実現しました」というメニューが多数並ぶ。「あのメニューを復活して」「こんなメニューが欲しい」といったカードの要望に、できるだけ答えてきた結果だ。

 人生相談や、冗談半分のカードにも、黒沢さんは一つひとつ答える。

 「最近、物事が中途半端でどうしようか迷っています。熱くなれるものを探そうか」

 「それで良いんです。色々探して挑戦してください。黒沢はいつも熱くなっている人生だが幅がない、少し横道にそれたいがなかなか出来ない。人それぞれ皆、大なり小なり悩んでいます」

 「卒業するのに単位が足りなくなりそうです。学食で単位の販売をしてください」

 「学食単位は出席数(レジ通過数)によって取れますが、卒業単位は生協では販売禁
止です。それぞれの教室で販売しておりますので大いにご利用ください」

 答えは、丁寧で時に辛口だ。

 黒沢さんにとって、カードは学生との「キャッチボール」。生協の経営を考えるヒントを与えてくれる大事なものだ。どんなカードにも答えるのは、「答えなければ書いてくれる学生も減り、必要な声も聞こえなくなってしまう」からだ。

 現在、食堂の年間の利用者数はのべ18万人を超えるが、99年度はその半分以下だった。起死回生をねらい定食ばかりだったメニューをカフェテリア形式に変えたのが00年。次第に客足が戻り、カードも増えた。

 「カードに答えることで信頼関係が生まれる」。そう考えて、週末を使って答えを書いてきた。99年度までは年30枚ほどだったカードは、現在は多い時には週40枚ほど入る。

 「生協の白石さん」が有名になったのをきっかけに、「黒沢さんて誰?」「黒沢さんみたいになりたい」というファンからのカードも出現。04年度の卒業生で都内の放送制作会社に勤める男性(24)は卒業後も、回答の書き込まれた「カード集」が無性に読みたくなり、大学に取りに行ったり、後輩に送ってもらったりした。現在、カードをまとめた本の出版や、テレビ番組の製作に向け準備中だ。

 来春定年退職する黒沢さん。生協食堂での18年間を振り返り、「必死になってやってきたことが、こういう結果になったのはうれしい」。

【キーワード・生協の白石さん】
 東京農工大学生協の職員、白石昌則さんが「ひとことカード」に答えた名回答を、学生が自分のブログ「がんばれ、生協の白石さん!」で紹介。その温かみ、おもしろさがインターネット上を超えて話題になった。昨年11月には講談社から、質問と回答を載せた書籍が出版され、ベストセラーになった。

http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000000609090001